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平成29年第3回定例会(第7号) 本文 開催日: 2017-10-16

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  1. 茨城県議会 2017-10-16
    平成29年第3回定例会(第7号) 本文 開催日: 2017-10-16


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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                 平 成 29 年 第 3 回          茨 城 県 議 会 定 例 会 会 議 録  第 7 号        ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 平成29年10月16日(月曜日)午後1時1分開議        ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯藤島正孝議長 これより本日の会議を開きます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 諸般の報告 2 ◯藤島正孝議長 諸般の報告をいたします。  人事委員会から,地方公務員法第8条,第14条及び第26条の規定に基づき,職員の給与等に関する報告及び勧告の提出がありましたので,その写しをお手元に配付してあります。御覧おき願います。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第96号議案=ないし=第106号議案,認定第1号,認定第2号及び報告第3号 3 ◯藤島正孝議長 これより議事日程に入ります。  日程第1,第96号議案ないし第106号議案,認定第1号,認定第2号及び報告第3号を一括して議題といたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 4 ◯藤島正孝議長 これより県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  なお,傍聴人の皆様に申し上げます。傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。  長谷川重幸議員。                 〔2番長谷川重幸議員登壇,拍手〕
    5 ◯2番長谷川重幸議員 いばらき自民党の長谷川重幸でございます。  質問に先立ち,8月に初当選されました大井川新知事に対しまして,お祝いを申し上げますとともに,公約とされました新しい茨城づくり「活力があり,県民が日本一幸せな県」が困難を克服して早期に実現できることを御期待する次第でございます。  さて,今回,3回目の一般質問に登壇させていただくことになりました。この機会を与えてくださいました先輩議員そして同僚議員の皆様方に心から感謝を申し上げます。  また,本日は地元後援会の皆様や,御支援をいただいております多くの皆様においでをいただきましたことに,重ねて感謝を申し上げます。  それでは,通告に従いまして質問させていただきます。  初めに,これまでの行財政改革の評価と今後の取り組みについてお伺いをいたします。  県では平成7年以降,6次にわたる行財政改革大綱を策定し,20年以上の長きにわたり,事務事業の見直し,財政の健全化等に取り組んできました。全庁一丸となって改革に取り組んだ結果,財政は一時期の危機的な状況を脱し,改善の兆しが見えてきたことについては,職員の皆様の努力に敬意を表するところでございます。  また,これまでの取り組みで,職員の数を知事部局で約2,000人,教育部門で約3,600人も削減をしてきました。このような人員の削減を「全国トップクラスのスリムな体制を実現」として,県では行財政改革の成果としております。  確かに人件費が削減され,財政の改善の一助になっていると考えますが,一方で,職員の過剰な負担,県民サービスの低下につながっているのではないでしょうか。必要以上に職員数が削減され,県民ニーズに対応できない,対応がおくれるということは,まさに県民サービスの低下であります。  財政についても,これまでは公共事業などの支出を切り詰め健全化を図ってきました。例えば,道路の草刈りが,以前は1.5メートル幅だったものが,予算がないため1メートルに狭め,現在は50センチメートルとなっています。また,建物の老朽化が進んでいても,予算がないために更新が進まないといったように,県民に我慢を強いている状況であります。  特に全国で2番目に延長が長い道路を有している本県は,その整備率が著しく全国水準を下回っていることも御案内のとおりでございます。  これまでの行財政改革の取り組みは,このような県民の我慢や職員の負担増の上に成り立っていることを認めなければ,本当によい方向へと進んでは行かないのではないでしょうか。  今後は,新たな財源の確保についても工夫していただき,出資団体改革などの厳しくしなくてはならないところは継続をする。一方で,県民サービスにつながる公共事業などにはしっかりと予算をつけるなど,めり張りをつけた予算を検討すべきであります。  大井川知事は,「チェンジ茨城チャレンジ茨城!」を合い言葉にしていますが,これまでの本県の行財政改革の取り組みについて,どのように評価し,今後どのようなチェンジ,チャレンジを行っていくのか,知事にお伺いいたします。  次に,茨城中央工業団地の新たな誘致活動について伺います。  茨城中央工業団地は常磐道,北関東道の2つの高速道路に直結し,首都圏への交通アクセスに非常に優れ,また,北関東道で常陸那珂港まで行けば海外までの輸送も容易となります。  さらに,オーダーメード方式で区画の選択幅が大きく,土地も購入だけでなくリースも選択できる非常に使い勝手のよいすばらしい工業団地であります。  最近では,リニア中央新幹線計画を進めるJR東海が8年8カ月の賃貸契約で,最終面積で12.2ヘクタールを活用する計画がスタートしております。  しかし,バブル期のころに造成が始まったため,他の工業団地と比較して土地代がやや高めに設定になることも否めず,1期地区の立地企業は8社で面積が25.7ヘクタール,2期地区と笠間地区では,合わせて1社,2.1ヘクタールと立地が進んでいない状況であり,早期の企業誘致が求められております。  大井川知事は企業立地の強化に向け,みずから先頭に立ちトップセールスに取り組む姿勢を見せておられますが,停滞ムードを打破するためには,トップセールスとあわせて新しいアイデアによる誘致活動も必要と考えます。  そこで,幾つか提案をしたいと思います。  1つ目は,茨城中央工業団地をどのような団地にしていくのか,どういう機能を持たせるのか,県が将来像を描き,そのイメージにあった企業に的を絞って行う提案型の誘致活動であります。  常陸太田市,常陸大宮市にまたがる宮の郷工業団地のような,地域産業である林業を生かした企業を有機的に融合させた工業団地がよい事例であります。茨城中央工業団地の場合は,茨城らしさ,地域の特徴を最大限に生かすため,食品加工業者や関連企業を誘致し,地域の農産物を使った6次産業化の拠点とすることはいかがでしょうか。そうすることにより,地元の農業振興,農家の所得向上にもつながり,地域の活性化も図られます。  2つ目は,大規模イベント開催による知名度の向上であります。現在,団地内には売れていない広大な土地がありますが,これを屋外イベント会場として貸し出してはいかがでしょうか。例えば,大型の農業機械の展示,デモンストレーションをするようなイベントは,これまで北海道などでしかできませんでしたが,ここなら実施することが可能であります。さらにインターチェンジからすぐの会場でありますので,アクセスにも優れており,多くの集客が期待でき,工業団地の知名度を上げる絶好の宣伝機会となるでしょう。  3つ目として,これは新しいアイデアではありませんが,価格の見直しであります。過去に分譲価格の値下げを行っていますが,都心から近い圏央道付近の工業団地と比較して,まだまだ割高感がありますので,さらなる値下げが必要と考えます。  工業団地が売れ残っていては,何の利益も生み出しません。一刻も早く企業立地につなげることが,県のみならず市町の財政のプラスになるものであります。  そこで,現状を打破し,茨城中央工業団地の企業立地を進めるためには,これまでとは違った誘致の取り組みが必要と考えますが,県として今後どのように取り組むのか,企画部長に伺います。  次に,涸沼を利用した地域振興について伺います。  まず,ワイズユースの推進についてであります。  私の地元の涸沼は,関東地方で唯一の汽水湖であり,オオワシやスズガモなどの渡り鳥の飛来地であることに加え,絶滅危惧種であるヒヌマイトトンボの発見地であるなど,多種多様な動植物が生息していることから,平成27年5月にラムサール条約に登録されました。  しかし,その後の地域の盛り上がり,波及効果は,地元住民が期待していたよりも小さい状況で,非常に残念なところであります。  県では,涸沼の自然環境の保全と賢明な利用,いわゆるワイズユースを進めるため,知事が会長を務める涸沼ラムサール条約推進協議会を組織し,PR活動やワイズユースの研修会,野鳥観察会や歩こう会などのイベントの実施に取り組んでいますが,予算も少なく,活動もマンネリ化,停滞しているようにも感じております。  一方,地元,鉾田市,茨城町,大洗町の3市町でも,ラムサール条約に登録された涸沼の保全・再生,ワイズユース,交流・学習などを推進し,周辺地域の観光や地域振興を図るため,市町,関係団体,金融機関等の代表で構成される「ラムサール条約登録湿地ひぬまの会」を組織し,同じような活動を行っております。  それぞれの組織活動の活性化を望むとともに,いずれは組織の見直し,一本化も考えていく必要があるのではないでしょうか。  また,今後の涸沼のワイズユースを進めていくには,拠点となる水鳥・湿地センターの早期実現が欠かせません。これまでの一般質問でも取り上げてきましたが,国への誘致活動とともに,設置候補地の選定など事前に地元でできることは進めていくべきであります。  さらに,来年は世界湖沼会議が本県で開催されます。涸沼もサテライト会場に決定されており,涸沼のワイズユースを世界に発信していく絶好のチャンスであります。  そこで,地元の悲願である水鳥・湿地センターの早期実現や協議会のあり方も含め,地域の活性化にもつながる涸沼のワイズユースを今後どのように推進していくのか,生活環境部長に伺います。  次に,観光振興についてであります。  涸沼周辺は観光資源としてもさまざまな魅力があります。野鳥観察やスポーツ体験,さらにはメロン・イチゴなどの豊富な農産物やヤマトシジミなど食も楽しめる地域であります。  また,近年は,地元の農家の方々が外国人を対象とした農村民泊を受け入れ,農作業や漁業体験のみならず,農家生活そのものが異文化交流として好評を得ており,農家の方々も観光客との交流を楽しみにしております。このような地域の基幹産業である農業や涸沼の内水面漁業を活用した体験型の観光をさらに推進すべきであります。  また,今後,さらなる観光振興を図るためには,周辺観光地との連携が必要と考えます。涸沼には大洗鹿島線の涸沼駅が隣接しておりますが,沿線には大洗海岸や鹿島神宮,カシマスタジアム潮来あやめ園など多くの観光地があり,鉄道を利用した周遊観光による相乗効果が生まれてくるのではないでしょうか。  また,最近のサイクリング愛好家が増加している中,つくば霞ヶ浦りんりんロードの開通が話題となっていますが,鉾田市におきましも,ことしからレンタサイクル事業をスタートさせる予定であり,涸沼周辺の観光については,自転車での周遊も非常に有効であると考えます。  そこで,涸沼周辺の観光振興について,今後どのように取り組むのか,商工労働観光部長に伺います。  次に,特定外来生物への対策について伺います。  外来生物とは,元来,ある地域には生息していなかったものが,人間の活動によって他の地域から持ち込まれ,定着した動植物のことであります。  その中でも,特に海外から持ち込まれ生態系などに大きな被害を及ぼすものが,特定外来生物として132種類が国から指定されており,本県ではアライグマやチャネルキャットフィッシュ,いわゆるアメリカナマズ,植物ではオオキンケイギク,ミズヒマワリなど19種類の定着が確認されております。  アライグマについては,生態系への被害だけでなく,家屋への侵入など生活環境被害や,トウモロコシやスイカなどの農産物への被害が確認されています。  ミズヒマワリは,新利根川において繁茂し,取水口などに詰まったり,水の流れを妨げるなどの被害が確認されています。  また,6月以降,毒性の強いヒアリが全国各地の港湾等で確認され,大きな問題となっております。幸い,本県ではまだ確認されていませんが,外国船の航行する港湾を抱える本県では,侵入が懸念されるところであり,侵入防止に取り組む必要があります。  特定外来生物の対策としては,完全排除を目指し捕獲等に取り組んでいるところでありますが,既に定着しているものを排除することは,現実的には非常に困難と思われます。捕獲数をふやすためには,食用にできるものは食用としての活用方法を検討するなど,もっと工夫が必要ではないでしょうか。  また,特定外来生物の中には,ペットや観賞用として飼育,栽培していた動植物を無責任に放棄することで広がったものが多いとのことであり,そのような経緯も含めた啓発活動も重要な対策ではないかと考えます。このことは,茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例の精神にも通ずるものであります。  そこで,侵入防止策を含め,特定外来生物の被害を防止するため,県としてどのような対策に取り組んでいくのか,生活環境部長に伺います。  次に,「桜の郷」のさらなる充実について伺います。  「桜の郷」は保健・福祉・医療機関の施設を一体的に整備し,高齢者だけでなく,小さなお子さん,障害者の方など全ての人が安心して楽しく暮らせるまちを目指し,県が整備を進めている地域であります。  地理的にも,北関東道,常磐道,国道6号や国道50号などの主要道路から近く,人・モノ・情報の迅速な移動,交流のための魅力的な条件を備えております。  平成16年度の宅地分譲以降,水戸医療センター特別養護老人ホーム,保育所,さらにはスーパー,ホームセンターなどの商業施設の立地も進んでおり,人口減少が進む地元茨城町の中で,唯一人口が増加し,にぎわいを見せている地域であります。  残る事業用地についても,「桜の郷」のコンセプトにあった企業が早期に立地し,「桜の郷」がさらに充実することを期待するところであります。  一方で,まちづくりが進むに連れ,新たな課題も見えてきております。国道6号からのアクセス道路として整備された県道内原塩崎線では,水戸市への通勤する車両の通行などにより,朝夕の交通量が多く,特に町道108号線との交差点部分では,毎日のように渋滞が発生しております。  また,水戸医療センターは本県のドクターヘリ基地病院であるとともに,救命救急センターとしての役割を担っていることから救急車の出入りも非常に多く,平成28年度の緊急患者受け入れについては,2,932人もの人数に及び,ドクターヘリを含めると年間3,000人もの受け入れをしております。さらに通院患者,入院患者の御家族,見舞い客などを含めると,来院駐車場は平日で平均1,700台から1,800台が駐車場を利用している状況にあります。また,平成27年に同地域に開所された茨城県赤十字血液センターの血液輸送のための緊急車両の出動件数も,月平均70から80件とふえております。  こうしたことから,救急医療の機能をあわせ持つ「桜の郷」では,主要道路とのアクセスを今まで以上に向上させていくことが重要と考えます。  現在,国道50号や北関東道の茨城町西インターへは,クランクのある狭隘な市道や車両がすれ違えない橋のある町道も利用されておりますが,非常に不便な状況であり,道路整備を求める地元の声も大変大きいものがございます。これらの道路は,県が整備する道路ではないことは承知をしておりますが,命を守る医療機関を包含する「桜の郷」の整備の一環として,事業主体である県としても,主体的に取り組むべきと考えます。  そこで,「桜の郷」のこれまでの整備状況と,今後の見通しについて,また,機能充実のためには,さらなるアクセス性の向上が不可欠と考えますが,保健福祉部長の御所見を伺います。  次に,大規模農業経営体における労働力確保について伺います。  近年,少子高齢化による人口減少にあわせ,農業現場においても,農業従事者の減少と高齢化が進んでおります。一方で,意欲ある担い手は生産規模を拡大し,家族労働だけでなく,雇用を導入した大規模経営体がふえている現状にあります。  大規模経営体では,農地の集積・集約化や機械化などにより,作業の効率化を図っていますが,もとより農業は人の手に頼る作業も多く,大規模経営体は労働力,マンパワーで支えられている部分も大きいところであります。  しかし,近年の茨城県の有効求人倍率は平成29年7月現在で1.48と高く推移し,他産業の雇用状況も改善してきており,農業分野での労働力の確保が大変困難になってきております。そのため,労働力が確保できない経営体では,規模拡大を諦め,あるいは規模を縮小せざるを得ない場合もあると聞いております。  県では,農業分野における外国人材の新たな受け入れ態勢の構築を目指し,国家戦略特区への提案も行ったところではありますが,現在のところ区域指定には至っておらず,大変残念に感じております。  また,若者の中には農業に対して魅力のない職業というイメージを持ち,就農を敬遠される方もいる中で,農業に従事する若者をふやすためには,農業の雇用環境をさらに改善するとともに,農業次世代人材投資資金の活用促進や農業のイメージアップにより,就農意欲の向上を図る必要があります。  農業は他産業に比べ,自由に時間を使えることがメリットであり,労働時間や働き方を配慮して,子育て世代などさまざまなライスステージにあわせることができる面もアピールしながら,パートを含む雇用就農者を確保することも有効な手段と考えます。  そこで,今後どのように大規模農業経営体の労働力確保に取り組むのか,農林水産部長に伺います。  次に,農業分野におけるICTの推進について伺います。  近年,農業分野において,作業の効率化,負担軽減などをするため,ドローンやアシストスーツなどのさまざまなICTの活用が進められており,7月に農林水産委員会の県外調査で訪れた北海道岩見沢市では,市が独自にGPS基地局を整備し,高精度な測位情報を配信することで,トラクターなどの農作業機械の自動運転等を可能にし,最大で50%の時間短縮,コスト削減につながった事例を研修し,大変感銘を受けたところであります。  本県においても,水稲の大規模経営体が多くのほ場を効率的に管理するために「ほ場管理システム」を活用したり,施設園芸分野では環境測定装置を導入し,個々の環境データを組織内で共有するような取り組みなど,ICTの導入が始まっております。  私の地元駒場営農組合においては,「地理情報システム」いわゆるGISをもとに東京農業大学が開発した「農地情報システム」を導入しており,このシステムにより,地域内の農地の位置情報と所有者や面積,作付品目などのさまざまな情報を結びつけることができ,農地の集積・集約化や効率的な作付計画に大いに役立っております。  現在,本県農業におけるICT活用は,一部の先進的な生産者,生産組織にとどまっておりますが,今後より多くの農業者がICTを駆使した革新的な農業に取り組むことを期待しております。そのためには,最近打ち上げられたGPS衛星「みちびき4号」により位置情報の精度が向上するなど環境整備が進む中で,優良事例等の情報を幅広く共有するための官民一体となった体制づくりが大変重要と考えます。  大井川知事の公約にもあるように,茨城農業をさらに発展させるためには,ICTの新技術を活用したスマート農業により国際競争力を高める必要があり,そのために農業分野においてもICTのリーディング県を目指していただきたいと思います。  そこで,今後,県としてどのように農業分野におけるICTの推進に取り組むのか,農林水産部長に伺います。  最後に,県立高校におけるエアコン整備について伺います。  県立高校におけるエアコンの整備については,平成21年6月に定めた「PTA等による県立高等学校への空調設備設置に係る取扱方針」及び平成22年9月に定めた「県立高等学校空調設備設置に係る基準等について」に基づき,県費により設置する部屋とそれ以外とに分けて対応しているところであり,普通教室への設置は公有財産の使用許可によりPTA等の費用で行われております。  普通教室の設置率は99校中67校,教室数で見ると1,748教室中1,222教室と約7割であり,残る3割の教室では気温35℃を超える猛暑日であっても,エアコンのない教室で授業を受けている状況であります。  熱中症の防止策として,猛暑日はエアコンのきいた涼しい室内で過ごしましょうと注意喚起を行っている現状を考えると,普通教室のエアコンは当然設置すべき設備であり,魅力的な学校づくりを進め,多くの生徒に県立高校を選んでもらうという観点からも,必要な設備であり,県みずから整備すべきであると考えます。  また,エアコン設置費用のみならず,普通教室に設置されたエアコンの電気代も,保護者負担となっており,平均額は生徒1人当たり月額約520円とのことであります。  現在,国を挙げて少子化対策に取り組み,子育て支援を重点課題として,手厚い支援をしている中で,高校のエアコン設置を保護者に負担させる,さらに,設置したエアコンの電気代さえも負担させるというのは,矛盾した話であります。  子供のためを思えば,平均520円の支払いを拒む保護者などいないと思いますが,金額の大小ではなく,保護者に負担させること自体が今の時代に合っていない考え方であり,早急に見直しを求めるものであります。  そこで,こうした点を踏まえ,県立高校におけるエアコン設置については,県みずから行うべきものと考えますが,教育長の御所見を伺います。  以上で私の質問を終わりにいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 6 ◯藤島正孝議長 長谷川重幸議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 7 ◯大井川和彦知事 長谷川重幸議員の御質問にお答えいたします。  まずもって,私の知事就任に対するお祝いの言葉,ありがとうございます。  これまでの行財政改革の評価と今後の取り組みについてでございます。  地方行財政を取り巻く環境は,少子高齢化の進展による人口減少社会の到来,バブルの崩壊やリーマンショックの影響,三位一体改革などにより,極めて厳しい状況が続き,全国の地方公共団体において徹底した行財政改革が求められてきました。  本県も同様の状況であり,県議会からも,財政再建等調査特別委員会において「未曾有の財政危機を回避するため聖域なき行財政改革を即刻断行しなければならない」との提言をいただくなど,厳しい御指摘をいただいてきたところでございます。  このような中,本県におきましては,財政再生団体への転落を回避すべく,職員数の削減や職員の給与カット,公共投資の縮減等により行財政改革を進め,一時期の危機的な財政状況は改善したものと認識しております。  一方で,このような量的削減を実施してきた結果,職員一人一人の負担感が増してきているのではないか,道路等公共施設の管理が十分に行われていないのではないかといった厳しい御意見も,私は耳にしてまいりました。  今後についてでございますが,私は,人口減少が進むこれからの10年間に何をするかで,本県の未来が大きく方向づけられると考えており,本県を「活力があり,県民が日本一幸せな県」とするために,行財政改革についても,これまでの考え方に縛られずに,発想を転換していく必要があると考えております。  まず,予算編成については,財政状況が改善してきたことも踏まえ,県民の声にしっかりと耳を傾け,本県を大きく飛躍させるために真に必要な事業については,大胆に予算を配分してまいりたいと考えており,あわせて,これまで行ってきた事務事業をゼロベースで総点検し,スクラップ・アンド・ビルドを徹底して実施してまいります。  また,仕事における職員の意識や行動を変えていくことも重要であり,未来を見据え,常識を疑い,みずから変わる勇気を持って,失敗を恐れずに挑戦する意識を職員一人一人に浸透させてまいります。  さらに,内部業務の合理化や,業務へのITの活用などにより,徹底して無駄を省き,本質的な仕事,現場に密着した仕事に集中できる環境づくりを行ってまいります。
     加えて,民間の持つ柔軟で効率的な発想を行政課題の解決に生かしていけるよう,企業や大学などの多様な主体との連携・協働や民間活力の導入に努めてまいります。  今年度から第七次行財政改革大綱がスタートしておりますが,私としましては,必要に応じて大綱を見直し,真に県民のために必要な仕事ができる県庁づくりを推進してまいります。 8 ◯藤島正孝議長 次に,盛谷企画部長。                    〔盛谷企画部長登壇〕 9 ◯盛谷企画部長 茨城中央工業団地の新たな誘致活動についてお答えいたします。  県におきましては,工業団地を整備することにより企業を誘致し,新たな雇用の創出や税収の増加により,県全体の発展に努めてきているところでございます。  このような中,茨城中央工業団地につきましては,高速道路により国内各地と短時間で結ばれ,茨城港常陸那珂港区や茨城空港へのアクセスも優れており,広範囲の企業活動を可能にする立地環境の優位性をセールスポイントとして企業誘致活動を展開してきております。  昨年度には建設資材メーカーの製造施設が立地し,本年度も衣料品会社の物流センターでございますとか,JR東海によりますリニア中央新幹線関連部材の製造施設等が立地することとなったところでございまして,今後も新たな企業誘致に向けてさまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。  新たな誘致活動につきましては,当団地は1期地区が工業専用地域に,2期地区・笠間地区が準工業地域に指定されておりまして,製造業を初め,流通業やサービス業など幅広い業種の立地が可能であり,議員御提案の食品加工業者や関連企業につきましても立地対象となっておりますので,既存産業の集積や立地環境の優位性を生産・物流の面で生かしていただける企業をターゲットにいたしまして誘致活動を展開してまいります。  また,圏央道の県内全線開通により,モノの流れに環状型の動きも加わっておりますことから,北関東自動車道沿線の企業はもとより,首都圏や東日本全体を活動範囲とする企業に対しましても,これまで以上に幅広く誘致活動を展開してまいります。  次に,工業団地の知名度の向上につきましては,個別の企業訪問に加え,各種セミナーの開催や東京から大型バスでの視察会を実施するなど,情報発信に努めているところでございます。また,今年度は,企業経営者等を購読者に持つ業界紙等への広告掲載に力を入れますとともに,現地案内看板を充実させるなど,引き続きあらゆる機会を利用して知名度の向上に取り組んでまいります。大規模イベントの開催につきましては,これまでもさまざまな地域イベントやスポーツ大会の駐車場として利用いただいているところでございまして,今後とも土地の有効活用の面からも柔軟に対応してまいります。  次に,価格の見直しについてでございますが,産業再生特区や本県独自の立地促進対策補助金等の優遇措置を最大限活用して誘致を進めてきているところでございますが,今後も他県との競合の中での優位性を確保する観点から,分譲価格の見直しも行ってまいります。  県といたしましては,圏央道の県内区間の全線開通や港湾の利便性向上などにより,企業の注目がこれまで以上に増大していることを好機と捉え,あらゆる機会を活用して,当団地の優位性を積極的かつ効果的にPRし,全力で企業誘致に取り組んでまいります。 10 ◯藤島正孝議長 次に,近藤生活環境部長。                   〔近藤生活環境部長登壇〕 11 ◯近藤生活環境部長 涸沼を活用した地域振興についてお答えいたします。  ワイズユースの推進についてでございます。  水鳥の保護や湿地の保全と賢明な利用,いわゆるワイズユースの推進につきましては,県や地元の市や町,環境団体等で構成しております「涸沼ラムサール条約推進協議会」におきまして,野鳥観察会や歩く会,シンポジウムのほか,島根県の宍道湖など先進地の方々を招いた勉強会を実施してまいりました。  また,今年度からは新たに県外における広報活動を積極的に実施することとし,昨年度のラムサール登録一周年記念シンポジウムを契機に,交流・連携を始めました千葉県谷津干潟の自然観察センターにおきまして,今月の中旬からオオワシやスズガモといた涸沼を代表する野鳥や,美しい夕日などの風景の写真を展示するほか,来月5日にはスライドを使ったトークショーを開催する予定としております。  今後,ワイズユースを一層推進していくためには,議員御指摘のとおり,人々の交流や学習の拠点となる,水鳥・湿地センターの誘致が重要であると認識しており,平成26年度から継続して環境省に対し誘致活動を行っているところでございます。  ことし8月にも「ラムサール条約登録湿地ひぬまの会」と連携して,3市町の首長にも御参加いただき,環境省への誘致活動を行ったところでございます。  環境省からは,現在,熊本県の荒尾干潟において,31年度の開設に向けた整備を行っているところであり,涸沼への整備検討はその後となることや,涸沼では設置に向けての環境づくりをしっかりやっておくことが大切であるというような助言をいただきました。  このようなことから,県といたしましては,水鳥・湿地センターの誘致を実現させるためにも,3市町と設置場所を含め湿地の保全や活用について十分検討するとともに,「ひぬまの会」とも連携・協力して,涸沼の魅力を広く情報発信し,多くの方に涸沼を訪れていただくことで,地域における機運醸成及びワイズユースの一層の推進に努めてまいります。  なお,「涸沼ラムサール条約推進協議会」と「ラムサール条約登録湿地ひぬまの会」の組織の見直し,一本化につきましては,設置規約に掲げる事業に異なる部分はございますが,構成員や実際の活動内容において重複する部分も多いことから,将来的には地元3市町の意見も聞きながら,組織のあり方について検討をしてまいりたいと考えております。  次に,特定外来生物への対策についてお答えいたします。  現在,県内では議員御指摘のとおり,19種類の特定外来生物の定着が見られ,生態系や農作物等への被害が発生しており,これらの駆除には専門的な技術や労力が必要であることから,対応に苦慮している状況にございます。  特に,アライグマにつきましては,県南・県西地域を中心として被害が認められることから,市町村と連携し捕獲を進めており,平成28年度は419匹と捕獲数が大きくふえたところです。県といたしましては,引き続き防除従事者の育成や捕獲器具の貸与など,市町村と連携して被害の拡大を防止してまいります。  また,県管理河川である新利根川において,平成23年度に水生植物であるミズヒマワリ等の除去を実施いたしましたが,多くの地点において再繁茂し,水路をふさぐなどの影響が認められることから,今年度,これらの除去を行うとともに,地元市町村と協力し,継続的な除去を行うための体制づくりを進めているところであります。  さらに,ヒアリなど新たな特定外来生物の侵入にも注意する必要がございます。ヒアリにつきましては,県内では確認されておりませんが,輸入コンテナからアカカミアリが確認されたことから,輸入業者等へ注意喚起を行うとともに,市町村への説明会やアリの確認方法に関する研修会,イベントやチラシの配布による県民向けの啓発を実施しているところでございます。  特定外来生物に関しては,侵入時の早期発見,早期防除が大変重要であります。また,議員御指摘のとおり,ペットとして飼われていた動物や観賞目的で導入した植物が捨てられ,外部に広がったことが原因の一つに指摘されております。  このようなことから,県といたしましては,特定外来生物に関する基本的な知識・特徴を含め,外来生物の被害予防3原則である「入れない」「捨てない」「拡げない」について,あらゆる機会を捉えて啓発するとともに,特定外来生物の根絶に向け,市町村と連携し,住民の協力を得ながら,根気強く対策に取り組んでまいります。  なお,捕獲数の増加につきましては,議員から「食用としても活用するなど工夫すべき」という御意見を頂戴しましたが,食用に限らず,幅広い活用方法や捕獲方法などについて専門家の意見を伺ってまいります。 12 ◯藤島正孝議長 次に,鈴木商工労働観光部長。                  〔鈴木商工労働観光部長登壇〕 13 ◯鈴木商工労働観光部長 涸沼を活用した地域振興についてお答えいたします。  涸沼周辺の観光振興についてであります。  この地域は,豊かな自然やヤマトシジミ,メロンなどの全国に誇れる食資源のほか,バードウオッチングや水上スポーツ体験など多くの観光資源を有していることから,茨城町初め涸沼周辺の3市町におきましては,ラムサール条約の登録を契機に,これらの資源を活用したモニターツアーの実施,観光情報誌の作成など,観光振興に連携して取り組んでおります。  県といたしましては,こうした取り組みを支援するとともに,涸沼エリアの体験型観光のさらなる推進や,大洗鹿島線沿線地域と連携した広域的な周遊観光の促進に取り組んでまいります。  まず,涸沼エリアの体験型観光の推進についてであります。  この地域では,レンタサイクルを活用したサイクリングや釣りなどのアクティビティのほか,茨城町の「ひろうら田舎暮らし体験推進協議会」が実施する農家民泊や,大洗町の地引き網,鉾田市の果物狩りなどさまざまな体験が楽しめますことから,ホームページやSNS,アウトドア雑誌などにより広く発信するとともに,旅行会社に対し,これらを組み入れたツアー商品の造成を支援するなど,誘客を促進してまいります。  また,近年,体験型観光においては,農家に宿泊するニーズが高まっておりますことから,農家民宿開業に向けた説明会を開催するなど,受け入れ態勢の充実を図るとともに,田舎暮らしが体験できる施設のガイドブックを作成し,首都圏などに紹介してまいります。  次に,大洗鹿島線沿線地域と連携した広域的な周遊観光の促進についてであります。  大洗鹿島線沿線には魅力ある観光資源が数多くありますことから,涸沼エリアでのさまざまな体験と,家族連れなどに人気の「大洗水族館」や,全国有数のパワースポットである「鹿島神宮」,東京オリンピックのサッカー会場に決定した「カシマサッカースタジアム」,水郷潮来の風情あふれる「十二橋めぐり」などを組み合わせた観光プランの造成を,旅行会社に対し積極的に働きかけてまいります。  また,涸沼の珍しい野鳥や,ヒヌマイトトンボなど希少動植物の自然観察と,「なめがたファーマーズビレッジ」での収穫体験や,鹿島臨海工業地帯の工場見学などを組み合わせた教育研修旅行の誘致も促進してまいります。  こうした取り組みにより,涸沼エリアと大洗鹿島線沿線地域の魅力ある観光資源を結びつけることで,両地域のさらなる観光振興が図られるものと考えております。  今後とも,涸沼周辺3市町や鹿行5市で進められているDMO形成に向けた動きなども見据えながら,地元市町や関係団体との連携をさらに強化し,涸沼周辺の観光振興にしっかりと取り組んでまいります。 14 ◯藤島正孝議長 次に,木庭保健福祉部長。                   〔木庭保健福祉部長登壇〕 15 ◯木庭保健福祉部長 「桜の郷」のさらなる充実についてお答えいたします。  「桜の郷」につきましては,議員御指摘のとおり,ユニバーサルデザインに配慮し,高齢者を初めとした全ての人にやさしいまちづくりを進めております。「桜の郷」は,東西2地区に分かれ,西側地区には住宅のほか水戸医療センター特別養護老人ホームなどの福祉施設が集積し,土地処分も平成25年度に完了しております。  東側地区につきましては,現在,造成工事,土地処分を進めており,平成27年春に食品スーパー等がオープン,今月には岩盤温浴施設がオープンするなど,商業事業者やディベロッパーの注目を集めるとともに,にぎわいの醸成が進んでおります。  立地企業からは,高速道路へのアクセスのよさや,美しいまち並みなどに高い評価をいただいているところでありまして,今年度も大手住宅メーカー,大手ドラッグストア,クリニック等が相次いで立地を決めたところでございます。  事業の進捗でございますが,工事につきましては事業費ベースで9割を超え,土地処分についも処分予定面積の8割を超えるところまで来ており,現時点での未処分面積は6.4ヘクタールとなっております。  今後の見通しですが,引き続き各方面からお問い合わせ等をいただいているところであり,立地推進東京本部と連携して,事業の終息を見据えてスピード感を持って土地処分を進めたいと考えております。  「桜の郷」と主要道路とのアクセスでございますが,将来交通量を見越して県道を中心に整備を進め,既に計画どおり完成しているところでございます。  一方,「桜の郷」周辺の既存の水戸市道,茨城町道にもアクセス道路として使われているものがあり,議員御指摘のとおり,それらの一部にクランク状の変形交差点や幅員狭小の橋などがあることは承知をしております。  長期的な視点に立ちますと,今後,「桜の郷」は企業立地が進み,ますますの発展が見込まれており,市道や町道の整備が進むことは,「桜の郷」の利便性の向上や,機能の充実につながることから,今後,道路管理者である水戸市や茨城町に道路の整備について検討を要請してまいります。 16 ◯藤島正孝議長 次に,櫛田農林水産部長。                   〔櫛田農林水産部長登壇〕 17 ◯櫛田農林水産部長 大規模農業経営体における労働力確保についてお答えいたします。  本県農業の発展に向け,儲かる農業を実現するためには,経営体が新たな事業展開にチャレンジできるような人材の確保が必要となります。  県では,これまで,このような人材を確保するため,就農相談のワンストップ窓口である「新規就農相談センター」を県農林振興公社に設置し,求人情報の提供,就職の斡旋を行うとともに,県内外で就農相談会などを開催してまいりました。  また,就農を前提として研修を受ける方については,農業次世代人材投資資金の活用を促進してまいりました。  しかしながら,就業人口の減少や高齢化が進展する中,労働力は社会全体で不足しており,特に,農業分野におきましては,他産業に比べ給与水準が十分とは言えず,昇給等の機会も多くないことで,将来が描きにくいこと,また,社会保険等の福利厚生面に不安があることなどから,労働力の確保に苦慮している状況にあります。  このため,他産業並みの給与の支給を可能としていくためには,必要なその人件費の分まで稼いでいく必要があることから,ICTの活用などによる生産性の向上,ブランド化・6次産業化による付加価値の向上,安全・安心で高品質な農産物の安定的な供給,輸出の取り組みなどをさらに進め,経営体の収益性の向上が図られるよう支援してまいります。  次に,社会保険加入など福利厚生面での改善については,雇用環境の改善につながる経営の法人化が有効と考えられます。  このため,これまでも法人化を志向する経営体に対し,専門家を派遣するなどの支援を行ってまいりましたが,本年度からは,新たに,県内5カ所の農林事務所単位で法人化のメリットや手続,労務管理や社会保険制度などの講座を開設し,法人化推進への取り組みを強化しているところです。  また,大規模経営体のさらなる事業展開には,正規雇用労働者に加え,パートなどの補助的労働者の確保も重要であります。  議員御提案のとおり,農業には就労者のライフステージにあわせた多様な働き方を可能とする面があり,介護や子どもの就学にあわせた短時間勤務などの働き方を導入している経営体もございますので,今後は,そのような事例の情報提供なども行ってまいります。  これらの取り組みを通じ,職業としての農業のイメージを高め,就農意欲を喚起し,雇用就農者等の確保が一層図られるよう取り組んでまいります。  次に,農業分野におけるICTの推進についてお答えいたします。  ICTやロボット技術の進展に伴い,農業分野においても,革新的な技術の導入による省力化や生産性の向上が期待されております。  国におきましては,オランダ等の農業先進国を参考に,ICTやロボット技術等の先端技術を活用し,農業機械の自動走行などによる超省力・大規模生産の実現などが可能となる,「スマート農業」の将来像や,その実現に向けたロードマップを示したところです。  県といたしましては,国や企業等が開発した先端技術がいち早く県内の生産現場で活用できるよう,昨年度,国・県の研究機関や大学,民間企業等で構成される「先端技術活用プロジェクト」を立ち上げ,国が示した将来像を見据えた活動を開始しているところです。  具体的には,ICT等を活用して,水田管理を効率化する大規模水田農業分野,環境制御技術などを活用して高品質多収栽培を目指す施設園芸分野,また,省力化・作業負担軽減のためのロボット技術利用の3分野について,現地での実証試験や利活用のための研修会等を実施しているところです。  今後,「スマート農業」を現場へ広く普及させていくためには,各分野において,さらに実証試験等による効果の分析を行い,新技術の導入コストや,導入よる収益向上などのメリットを明らかにしていく必要があります。  このため,まず,大規模水田農業については,高精度のGPS機能を搭載した無人トラクターなどを使い,1人のオペレーターが複数の機械を操縦する実証・検証等に取り組んでまいります。  次に,施設園芸については,高度な栽培技術を持つ生産者をモデル農家として,ハウス内の温度や二酸化炭素濃度等の栽培環境を数値化し,他の生産者においても,最適な栽培環境を自動制御できるよう,データの蓄積と分析等を行ってまいります。  さらに,ロボット技術利用については,アシストスーツを活用した作業負担軽減の効果検証と,それのフィードバックによる機器の改良や,ドローン等を活用した高度な生育診断技術の開発などを進めてまいります。  これらの取り組みを通じて得られた成果や新技術の導入に伴う費用対効果などについて,より多くの農業者の方へわかりやすく情報提供していくことで,効果の高い技術の県内へのいち早い普及を図ってまいります。  県といたしましては,農業者がICT等を各分野で効果的に活用し,省力化や生産性を向上させることで,茨城農業が成長産業として発展していけるよう取り組んでまいります。 18 ◯藤島正孝議長 次に,小野寺教育長。                    〔小野寺教育長登壇〕 19 ◯小野寺教育長 県立高校におけるエアコン整備についてお答えいたします。  議員御指摘のように,県立高校のエアコン整備につきましては,基準を定め,県費により設置する部屋とそれ以外とに分けて対応しております。  御質問の普通教室や特別教室へのエアコン設置につきましては,これまで暑い時期は主に夏休みと重なる期間であり,授業での生徒の利用を想定しておりませんことから,県費による整備を行ってこなかったところでございます。  一方,夏休み期間中であっても課外授業などに使用するため,PTAなどからの要望があった場合におきましては,公有財産の使用許可によりPTAなどの費用負担のもとで設置する扱いとしてまいりました。  また,限られた財源の中で,少しでも学習環境の向上を図りますため,これまで全ての普通教室に扇風機を設置しましたほか,授業で窓をあけることができないなどの特殊事情がある特別教室につきましては,必要に応じて県費による設置を行ってきたところであります。  しかしながら,近年の厳しい暑さを踏まえますと,これまでの考え方にとらわれることなく,県費での設置について検討すべき時期に来ているものと強く認識しております。  これまで,県立学校のエアコンにつきましては,肢体不自由や体温調節が困難な児童生徒が通学する特別支援学校を優先して整備を進めてまいりましたが,今年度中にはその整備が完了する予定であります。  こうした中,今後は,県立高校の普通教室へのエアコン設置について検討をしていく必要があると考えており,現在,県内各県立高校におけるエアコンの使用実態や夏場の室温状況,さらには全国の導入状況について調査を行っているところでございます。  また,普通教室への整備を進める場合には,対象となる教室数が多く多額の費用が見込まれますことから,事業費の試算やその財源の確保方策などの課題につきましても,あわせて検討しているところでございます。  一方で,県立高校施設は昭和50年代以前に建築した建物が約7割を占めており,老朽化対策もまた早急に対応すべき課題であります。現在,県では施設の維持管理や更新を適切に行うことで,施設を長期間にわたって使用するための長寿命化に係る「個別施設計画」を策定しておりますので,その策定作業の中でエアコンの整備についても検討しております。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 20 ◯藤島正孝議長 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は午後2時25分を予定いたします。                     午後2時03分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時26分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
    21 ◯森田悦男副議長 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  なお,傍聴人の皆様方に申し上げます。傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。  川口政弥議員。                 〔5番川口政弥議員登壇,拍手〕 22 ◯5番川口政弥議員 自民県政クラブの川口政弥であります。  まず初めに,8月に行われた知事選において,初当選を果たされました大井川知事に,お祝いを申し上げます。県民の期待に応えるべく新知事の御健闘を御期待申し上げます。  また,本日は日頃より大変お世話になっております地元取手市の女性の皆さんにおいでいただきまして,まことにありがとうございます。  さて,今定例会には取手市関係の議案が2件提出されております。平成27年11月,私の地元取手市で公立中学校の女子生徒がみずから命を絶つという大変痛ましい事件がありました。改めて,亡くなられた生徒さんの御冥福をお祈りし,また,御遺族に心からお悔やみを申し上げます。  今後,知事のもと公正・中立な形での調査が進み,事実が解明され,二度とこのような痛ましい事件が繰り返されないことを願ってやみません。  それでは通告に従いまして質問を始めてまいりますので,知事初め,関係部長,教育長には明快なる御答弁をお願い申し上げます。  初めに,地方創生について,知事に伺います。  2015年の国勢調査による我が国の総人口は1億2,709万人でした。5年前の調査と比べて96万人の減少です。1920年の開始以来,100年近い国勢調査の歴史上初めて日本の総人口が減少に転じた,1つの大きな節目となる調査でした。  また,人口動態統計による2016年に生まれた子どもの数は97万人余りで,1899年に統計をとり始めて以来,初めて100万人を割り込みました。現在の日本はまだ人口減少の入り口に立ったばかりです。今後,人口減少は恐ろしいほど加速します。人口減少こそが,日本が直面する最大にして喫緊の重要問題です。しかし,人口減少への国民の危機感は極めて薄いように思われます。  加えて,東京圏への人口集中も大きな問題です。  2015年の国勢調査では,全国の8割以上の市町村で5年前より人口が減少しています。それとは裏腹に,東京圏の人口は51万人ふえて3,613万人を記録し,全国の4分の1以上を占めています。  「地方創生」を一時のブームで終わらせず,人口減少に歯どめをかけ,東京一極集中の是正につながる施策を展開していかなければなりません。  そこで,初めに,少子化をとめるための女性への支援について伺います。  まず,女性が活躍できる環境整備についてです。  我が自民県政クラブでは,今年5月にオランダを訪れました。ハーグの日本大使館では教育・子育て支援について説明を受け,オランダの子どもたちの幸福度が高いことを伺いました。  オランダでは,ワークシェアリングが当たり前になっていますが,その基礎には,賃金だけでなく,福利厚生なども同等である「同一労働同一条件」があります。この柔軟性が子どもを産み育てる環境をつくってきました。  仕事だけでなく平日でも,子どもにあわせて過ごす時間をつくり,また,親自身のための時間も確保する。この国には子どもと過ごす時間が短いことを悩む親は少なく,子どもたちも両親を含めた家族や周りの人とゆっくりとよい人間関係を構築できているそうです。  一方,現在の日本は,いまだ妊娠,出産,育児などでやむを得ず退職する女性も多く,マタハラ,過労自殺など昨今話題になった言葉を拾うだでも,女性が働き続けることの難しさを感じさせる国です。  少子高齢社会での人口減を抑制するためには,20代・30代の若い世代の女性が県内で働きながら,結婚し,出産するという自然な流れをつくっていくことが必要です。求められているのは,若年女性の転出予防のための施策です。  最近の国の女性支援の施策と言えば,子どもを育てながら正社員として働く女性,管理職を目指す女性が対象で,非正規で働く女性,未婚で働く女性には光が当たっていないように感じます。正規と非正規,未婚と既婚など,女性の間でも格差が出ている中で,女性がどのような人生を選ぶにせよ,無理なく生活していける社会にしていかなければならないと思います。  まずは,この茨城県を,女性が希望に応じた生き方・働き方を選択しながら,さまざまな分野で個性と能力を十分に発揮し,活躍できる県,生活の質の高い県にしていく必要があるのではないでしょうか。そうした県は,女性だけではなく,男性にとっても,そして次の世代を担う子どもたちにとっても望ましい県であると考えます。  そこで,女性が働き,活躍できる環境づくりに今後どのように取り組むのか知事にお伺いいたします。  次に,非婚の時代の結婚支援について伺います。  婚活という言葉が日常的に使われるようになった中,結婚しない人がふえています。2015年の国勢調査では,50歳までに一度も結婚しない「生涯未婚率」も男性で23%,女性で14%と過去最高を更新しました。同じ年の30代前半の未婚率は,男性が47.1%,女性が34.6%に達し,平均初婚年齢も男性31.1歳,女性29.4歳と上昇しています。なぜ日本は,ここまで結婚しない人がふえる「非婚の時代」に突入したのでしょうか。  かつての高度経済成長期では,男性が外で働いて稼ぎ,女性が専業主婦となって家を守るのが我が国の標準的な家族のあり方でした。相手の学歴や職業と関係なく,誰と結婚しても給料はふえ,マイホームを持ち,子育てができる,そうした時代でした。  1990年代後半以降,経済の低成長が続く中,賃金水準は低下し,若い世代を中心に家族のあり方が共働きにシフトしてきています。共働きの時代になっても,結婚した女性には「仕事」と「家庭」の両方の責任がついて回ります。最近でこそ,「イクメン」という言葉にも象徴されるように,家事・育児に取り組む男性も出てきましたが,いまだ実際に家事・育児をするのは圧倒的に女性です。  今の日本は,社会や制度,人々の意識が共働きの時代にシフトしていないことが結婚のハードルを押し上げているように思います。今,国では一億総活躍を掲げていますが,現状のまま女性の社会進出を推し進めると,晩婚化,非婚化がさらに進みかねません。しかし,現在の施策は,子育て支援など既婚者向けが中心で,少子化,非婚化に対応するものは少ないように思います。  私は,今後の日本社会のあり方を考えた場合,「出産イコール結婚」「家事や育児は女性の責任」といった昭和的とも言える家族観を変え,税制・社会保障面も含めて,多様な生き方への柔軟な対応が必要だと考えます。  加えて,人口の減少,生涯未婚率の上昇に歯どめがかからない今こそ,これまでとは異なる,多様な生き方への柔軟な対応をも念頭に置いた,新たな視点での結婚支援の取り組みも求められているように思います。  そこで,知事は非婚の時代をどのように考え,結婚支援に今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に,県内に人を呼び込むための若者への支援について伺います。  初めに,県外からの人材の還流と地元への定着についてです。  我が県の年齢階級別の人口移動の状況を見てみますと,若い世代の大幅な転出超過が目立ちます。県内の高校卒業後の進路調査では,就職する高校生の85%は県内に就職していますが,その2倍以上の高校生が県外の大学に進学しています。  県外転出の理由を尋ねた別の調査では,20代の男性では就職,転勤が,女性では就職,結婚が多くなっています。本県の将来を担う若い人材の確保や定着のためには,雇用の確保が必要ですが,特に若者にとって魅力ある働く場の確保が重要であります。  確かに,地方は東京圏に比べて賃金などの待遇や企業の知名度の面で劣っていたり,業種が限られているなど人材採用で不利な点が多いことは否定できません。しかし,価値観が多様化し,多様な生き方が模索される中で,収入の多さだけを重視するのではなく,生活の質や環境にも配慮する潜在的なUIJターン希望者は少なくないように思います。  現代は情報社会です。世間にはいろいろな情報があふれています。その中で,県内の大学生や県外の大学に通う本県出身者に,茨城県内での就職に関する情報はきちんと届いているのでしょうか。県内企業の紹介,確かな技術を持った企業や経営者,茨城県の魅力などを継続的に発信できれば,県内での就職を1つの選択肢にする学生がふえていくのではないでしょうか。  これからは,若い世代に県内で働いてもらうことを目標に,茨城県内での仕事と生活に関する支援を確実に行っていくことが必要だと考えます。  そこで,若者の東京圏などからの人材還流や地元定着に向け,今後どのように取り組んでいくのか知事にお伺いいたします。  次に,若者の経済的安定について伺います。  高校や大学を卒業したら,就職し,その企業に定年まで勤める,それが戦後,高度成長期を経て平成に入るまで,長く続いた日本社会の姿でありました。知識や技能が乏しい若者を企業が一括して採用し,人材育成も担う。若者にとっては企業が「見えない社会保障」として機能する一方で,企業にとってはみずから育てた若者に定年まで働いてもらうことで拡大・成長を遂げていく,そうした時代でありました。  しかし,今,時代は急速に変化しています。社会が成熟してものが行き渡り,需要も雇用もふえない。限られた雇用を互いに奪い合う状況が生まれ,しわ寄せは入り口の若者のところに来ています。  年齢階級別の失業率を見た場合,最も高い階層は男女とも15歳から24歳,次いで25歳から34歳です。15歳から34歳の若年人口に占める若年無業者の割合は2.3%であり,上昇傾向が続いています。35歳未満の雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は,35%と20年前に比べ倍増しています。  ともすれば,我々を初め,高度成長期の我が国の成功体験を持つ世代は,「若者が社会的弱者になるはずがない」という感覚になりがちです。我々も施策も,時代の変化に対応できず,若者に対する支援は薄いままで,社会に出る際につまずくと,そのつまずきが一生響きます。若者の間での格差も生じています。  今の若者は余りにも無防備で,脆弱な状態です。正規の職につくことを希望するも果たせず,雇用保険にも入れずブラックバイトで糊口をしのぐ若者も少なくないのが現実です。正規と非正規,同じ仕事であっても1時間当たりの給料が違うのはやはりおかしい。同一労働同一賃金,さらにはオランダのように同一労働同一条件が目指していくべき姿だとは思いますが,まずは,若者が経済的に安定し,将来の展望を描けるよう,若者の正規雇用化を進める必要があるのではないでしょうか。  そのために有効なのは,職業訓練,職業教育などの就職支援です。若者が知識や技能を習得することで正規雇用化の道を開き,若者に今後の日本社会を支える側に回ってもらうようにしていくことが必要です。  そこで,若者の経済的安定に向け,今後,正規雇用化にどのように取り組んでいくのか,知事にお伺いいたします。  次に,東京圏への通勤圏の拡充のための公共交通の充実について伺います。  この10年,公共交通,とりわけ県内の鉄道の存在は,我々の生活に大きな影響を与えました。つくばエクスプレスは開業から10年を経て沿線地域のまちづくりが進み,定住人口が着実に増加しています。  常磐線については,2015年の上野東京ラインの開業により,東京,新橋,品川各駅への乗り入れが実現し,本県から東京圏,東海道方面へのアクセスが格段に向上しています。  さらに,一昨日,10月14日,常磐線のダイヤ改正が実施され,早朝・朝の通勤時間帯における品川方面への乗り入れが達成されました。普通列車の車両数も品川・土浦間で10両から15両編成へ増加しています。  これまでの日本は,鉄道への投資というと財源が問題となりました。つくばエクスプレスしかり,上野東京ラインしかりです。鉄道は事業者の独立採算が原則とされていることが,その理由です。しかし今,高齢化の進む地方で,地域衰退の悪循環を打破するためには,公共交通が,住民が思わず乗りたくなるような利便性や乗り心地を有し,さらには観光客も引きつける必要があります。特に鉄道は,通勤・通学や高齢者の足という最低限の移動をかろうじて守るだけの存在ではなくて,地方創生を進める今こそ,目先の収支だけでなく,広く社会にもたらす効果を考え,戦略的に整備を進める時期に来ているのではないでしょうか。  もちろん,事業者の独立採算という鉄道の原則を変えるのは一朝一夕にはできません。まずは,現にある鉄道を最大限に生かし,その利便性を向上させることにより,県南だけでなく,茨城県内各地から東京圏への通勤・通学を可能とし,人口流出の防止にもつなげるための取り組みが必要です。  地方創生に取り組み,魅力あるいばらきを模索する中,知事は「常磐線」にどのようなイメージをお持ちでしょうか。私は,「常磐線」という名称に,野暮ったさやうら悲しさを感じており,例えば「土浦ライナー」「取手ライナー」といった若い世代にスマートなイメージを持ってもらえるような愛称を使ってほしいと思います。  そこで,このたびの選挙戦では,つくばエクスプレスの県内延伸を公約に掲げられた知事に,常磐線に関する御所見を伺うとともに,あわせて県内から東京圏への通勤圏の拡充を視野に入れた公共交通の充実に今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。  次に,本県の特性を生かした科学技術人材の育成について伺います。  先日の代表質問で臼井議員も触れましたように,ことし5月,会派でフランスの原子力・代替エネルギー庁のマルクール研究所を視察いたしました。同研究所は278ヘクタールの敷地に5つの原子力施設が存在し,将来の原子力システムの研究を行う一方,古い原子力施設の解体も行い,700人の科学者を含む1,500人のスタッフが働く一大産業拠点です。フランスでは19カ所で58基の原発が稼動し,また,閉鎖された9つの原子炉の解体工事が同時に進んでいます。  福島の原発事故は,私たちに当たり前の便利な電気コンセントの向こうにあるリスクを知らしめましたが,ドイツでは脱原発に,フランスでも原子力依存度を75%から50%にかじを切りました。  我が国の原発依存度は可能な限り低減させるとしてはいるものの,2030年の電源構成に占める原子力の割合を20から22%としています。我が国全体として見れば,今後は,新規制基準に適合すると認められた原発が稼動するとともに,廃止措置に入る原発が増加することが見込まれます。  世界では2040年までに約200基の原子炉が運転停止すると見込まれ,大規模な廃炉市場が生まれると予想されます。そのような中,日本は世界で増加する廃炉とどう向き合うのでしょうか。  私は,今後世界中で本格化する廃炉を1つのビジネスチャンスとして捉えて,産業化を進め,我が県をその先進県にできないかと思います。  今後の我が国においても,安全かつ着実に原発の運転や廃炉を行っていくために,高い専門性を持つ幅広い人材の確保が欠かせません。本県には,東海・大洗地区に原子力研究の集積に加え,つくば地区には大学・研究機関・企業が集積し,未来を拓く最先端の科学技術拠点が形成されているという強みがあります。  まずは,本県のこうした環境を生かし,原子力の分野にとどまらず,科学技術のさまざまな分野における優秀な人材を持続的に育成・確保し,多様な場で活躍できるようにしていくことにより,最先端の科学技術を融合させ,競争力ある産業の創出,振興にもつなげていくことこそが,本県に求められているのではないでしょうか。  そこで,我が国を代表する科学技術の集積地である本県の特性を生かし,今後どのように科学技術を担う人づくりを進めていくのか,企画部長にお尋ねいたします。  次に,過疎地域の振興について伺います。  ことし4月に過疎地域自立促進特別措置法が改正され,県内では新たに地元の利根町が過疎地域とされました。昭和45年以来,4次にわたり制定された過疎法において,本県の県南地域の市町村が過疎地域とされたのは初めてのことです。  過疎法では,法律に定められた人口と財政力の要件を満たした市町村は,市町村による申請や国による指定などの手続を経ることなく,法の施行と同時に自動的に過疎地域とされます。  今回の法改正で新たに過疎地域とされた全国20の市町村やそれぞれの都道府県に対しては,国が説明会を行ったと聞いておりますが,地元住民に対しても,まずは国やそれぞれの都道府県が過疎法の趣旨や内容について十分に,丁寧に周知していく必要があるのではないでしょうか。  一方で,過疎法の目指す,人口の減少に伴って地域社会の活力が低下している地域について,総合的かつ計画的な対策を実施していくことの必要性は,私も痛感しているところであります。  本県では,第4次の過疎法が平成12年に制定されて以来,今回の改正までの15年余り,過疎地域は常陸太田市,常陸大宮市,城里町の2市1町の8つの区域と大子町でありました。県北西部に位置するこれらの区域は,地理的にも隣接しており,本県における過疎地域の振興とは,すなわち県北地域の振興であり,県や関係市町ではこれまでさまざまな取り組みが展開されてまいりました。  今回,利根町が過疎地域とされたことにより,本県の過疎地域の振興については,これまでの県北地域の振興のための施策とは違った視点での新たな取り組みが求められています。  加えて,私は,過疎という言葉にはネガティブなイメージがあると思います。全国的に人口減少が進展し,全国の1,718市町村のうち約半数,817市町村が過疎地域に該当する現状で,「過疎法」や「過疎地域」といった50年近く前の,昭和の時代からの名称を使い続けて取り組みを進めることは,地方創生にも逆行しています。  そこで,現行の過疎法に対する評価と,新たな過疎地域とされた利根町を初め,県内の過疎地域の振興に今後どのように取り組んでいくのか,企画部長にお伺いいたします。  次に,短時間での大雨に対応するための県管理河川の整備について伺います。  本年,平成29年の夏は,全国的に大雨による災害の多い夏でありました。7月の「九州北部豪雨」では,総降水量は多いところで500ミリに達し,死者・行方不明者が40人を超えた福岡,大分の両県では,県が管理する河川のうち60以上で堤防の決壊,溢水,護岸損壊などの被害が発生しています。  また,同じ月の秋田県内での大雨では,総降水量は多いところで300ミリを超え,雄物川が氾濫するなど被害が発生し,また,8月の大雨でも再び氾濫しています。  先月9月の台風18号の大雨も全国各地にさまざまな被害をもたらしました。  これらの災害により亡くなられました方々の御冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに,被災されました方々に心よりお見舞いを申し上げます。  全国の都道府県が管理する河川の長さは,国が管理する河川の10倍です。茨城県においても,県が管理する河川の長さは,国の約3.7倍です。河川の整備,維持管理における都道府県の果たす役割の重要性は言うまでもありません。  土木部の歳出予算のうち河川海岸費は,2015年の「関東・東北豪雨」を踏まえてふえているとはいえ,いまだ道路橋梁費の半分程度です。短時間での大雨により一たび河川に堤防の決壊,溢水などが生ずれば,人命,家屋,道路,田畑など被害は拡大していくことを考えれば,予算編成を見直し,迅速に河川の整備を進めていくべきではないかと思います。  また,近年,雨の降り方が局地化,集中化,激甚化しています。雨が今までとは異なる新たなステージに入ったと捉え,ハード面での整備だけではなく,ソフト面での施策も取り入れていかなければなりません。  そこで,短時間での大雨に対応するための県管理河川のハード・ソフト両面における整備について,現在の状況と今後どのように進めていくのか,土木部長にお伺いいたします。  最後に,いじめ問題への対応について伺います。  初めに,県の取り組みについてです。  平成27年度に全国の学校が認知したいじめの件数は,約22万5,000件で過去最多でありました。いじめから子どもを守るために学校や行政の責務を定めた「いじめ防止対策推進法」の施行から4年,いじめに悩む子どもは減らず,悩んだ末にみずから命を絶つという悲劇も後を断ちません。  教育長,今の日本の子どもたちは幸せなのでしょうか。  平成26年,県は茨城県いじめ防止基本方針を策定しました。県の方針を踏まえ,県内の各市町村,各学校も同じような防止基本方針をつくっています。この基本方針に対しては,理念はよいが,中身が伴っていないとの指摘があります。  全国的には子どもの発するサインに気づかなかったり,SOSに気づきながら学校側がいじめと認識しなかったり,対応が不十分で被害を受けた子どもが命を落としたり,子どもがみずから命を絶って,初めていじめの存在が明らかになることが珍しくありません。繰り返されるいじめや,いじめを苦にした自殺を教訓として生かし,方針に基づいた具体的な取り組みが必要ではないでしょうか。  県の基本方針では,県の取り組みとして,県立学校に対するいじめに関する取り組み状況の点検,市町村への助言と支援などが掲げられています。ある学校で起きたいじめ事件やその対応について,他の市町村や学校が教訓として生かしていける仕組みづくりが県の役割ではないかと私は思います。  いじめに歯どめをかけ,いじめをとめられる社会に変えていくためにも,まずは,過去のいじめを教訓とする形で,県のいじめ防止基本方針に基づいた実効性のあるいじめ防止対策が必要です。  そこで,県いじめ防止基本方針に基づくこれまでの取り組みと,方針策定後も発生するいじめを踏まえ,県として今後どのようにいじめ対策に取り組んでいくのか,教育長にお伺いいたします。  次に,学校における専門家の活用について伺います。  いじめは,どの子どもにも,どの学校でも起こり得る問題だとされています。いじめに対応していくためには,いじめに関わる子どもの些細な変化,いじめを受けた子どものSOSを早い段階できちんと捉えることが極めて重要です。  一方,日本の学校の先生は,世界一多忙だといわれます。こうした中で,先生がいじめに関する子どものサイン,子どものSOSをキャッチできるのか。SOSをキャッチする機会を見逃したために,より多くの労力を必要とするのではないでしょうか。社会が大きく変わり,いじめに限らず学校の抱える問題が複雑・多様化し,問題の背景にはさまざまな要因がある中で,先生だけで対応するのは無理があるのではないでしょうか。専門家の手もかりながら,チームとして対応していくことが必要です。  私は,日本の学校現場では,教師という教育の専門職,スクールカウンセラーという心理の専門職,そして,スクールソーシャルワーカーという福祉の専門職が連携するという取り組みがおくれているように思います。  忙しい担任の先生が問題の兆候に気づかず,あるいは十分に対応できないまま問題をみずから抱え込む体質があり,ほかの専門家と一緒になって問題に気づく力を高めること,問題の解決の道を探ることについて,もっと積極的になることが必要であるようにも感じます。  また,子どもたちにとって,担任の先生以外に相談できる人がいる,相談できる場があるということは重要です。対面して直接相談するだけでなく,子どもたちがなじんでいるインターネットやLINEのようなSNSを活用して,使いやすい,気軽に悩みを打ち明けられる相談の場を構築していくことも有効だと思います。
     そこで,いじめを初めとする学校での問題におけるスクールカウンセラー,そしてスクールソーシャルワーカーなどの専門家の活用について,現状と今後どのように取り組んでいくのか,教育長にお伺いいたします。  以上で,私の質問を終わりにします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 23 ◯森田悦男副議長 川口政弥議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 24 ◯大井川和彦知事 川口政弥議員の御質問にお答えいたします。  私の,まず知事就任に対してお祝いの言葉をいただきまして,まことにありがとうございます。  地方創生について御質問をいただきました。  まず,少子化をとめるための女性への支援のうち,女性が活躍できる環境整備についてでございます。  本県においては,特に20代から30代前半の女性が,就職や結婚を機に,東京圏へ転出する傾向が顕著であり,私としても,少子化をとめるためにも,若い世代の女性が本県に魅力を感じ,とどまってもらえるようさまざまな対策を講ずることが重要であると考えております。  中でも,女性がその希望に応じて,結婚,出産後も働き続け,能力を十分に発揮し活躍できる環境整備が重要であると考えております。  そのためには,まず,ICT等を活用した多様で柔軟な働き方の実現や,女性が働きやすい職場づくりに向けた企業の取り組み促進に重点的に取り組んでまいります。  具体的には,テレワークの環境整備や短時間勤務制度の導入,育児休業明けの復職支援など,女性の活躍やワーク・ライフ・バランス,子育て支援の3分野にバランスよく取り組む優良企業を認定・表彰するとともに,これらの先進的な取り組みを積極的に発信し,県内の他の企業に導入を働きかけてまいります。  また,大企業に比べ,職場環境の整備が遅れがちな中小企業に対して,女性専用トイレなどの施設整備や,就業規則などの制度整備にかかる費用の一部を支援してまいります。  さらに,仕事と生活の両立を可能とする支援基盤の整備といたしまして,保育所や放課後児童クラブなどの整備を進めますとともに,保育ママなどの地域型保育事業を初めとした保育サービスの充実を図ってまいります。  一方,女性が仕事と子育ての両立に不安を感じる要因として,男性の家事・育児等への参画が十分でないことが挙げられております。その背景には,長時間労働を前提とした現在の働き方があることから,県内一斉ノー残業デーの設定や,労働時間短縮に向けた企業の取り組み宣言の募集などのキャンペーンを実施しますとともに,男性の育児休業の取得促進を企業に働きかけてまいります。  このほか,女性の多様な働き方を促進するためには,起業を通じた個性と能力が十分に発揮できる環境も必要であることから,相談窓口や女性向けの低利な融資制度を設けるなど,起業から経営安定に至るまでの切れ目ない支援を行ってまいります。  加えて,インターネット等による県内で活躍する先輩女性起業家の情報提供にも力を入れてまいります。  県といたしましては,こうした女性が活躍できる環境整備を進めますとともに,これらの取り組みをネットメディアを最大限活用して積極的に発信することで,若い世代の流出を防ぎ,より活力のある茨城を目指してまいります。  次に,非婚の時代の結婚支援についてでございます。  結婚につきましては,個人の考え方や価値観に関わることであり,個人の自由な選択が最優先されるものでありますが,非婚化の進行は少子化をもたらし,少子化による人口減少は社会経済全般に大きな影響を及ぼすことから,県としても大変深刻な問題であると考えております。  一方,国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと,いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は,男性で86%,女性で89%と,いずれも高い水準でありますので,少子化対策を進める中で結婚支援は重要な施策の1つと認識しております。  このような中,県政世論調査等において,独身である理由として「出会いの場がないから」との回答がトップとなっております。このため,本県では,平成18年からいばらき出会いサポートセンターやマリッジサポーターにより,結婚を希望する方に出会いの場を提供し,これまでに多くの方々が成婚しております。  今後,さらに成婚組数をふやすため,いばらき出会いサポートセンターにつきましては,本県への移住に関心のある県外居住者にまで対象を拡大し,WEB上でセンターの利用予約等を行える会員マイページサービスの機能拡張を行うなど,サービスの充実を進めてまいります。  マリッジサポーターにつきましても,認知度向上のための広報紙発行回数の増加,結婚相談会等の開催支援やスキルアップセミナーの実施などにより,サポーターの増員や活動の強化に取り組んでまいります。  また,現在,共働き世帯数が専業主婦世帯数の1.7倍に達しており,これまで以上に夫婦で協力して,家事・育児に取り組んでいくことが求められております。  このような状況を踏まえ,高校生や大学生に家庭生活の意義や夫婦がともに家事・育児に参加する重要性を伝え,結婚や子育て,キャリアなども含めたライフデザインを描くことができるよう,セミナーを開催してまいります。今後,さらに対象を広げ,積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  加えて,新たに新婚夫婦や結婚予定カップルを対象に,協賛店舗で料金割り引きなどが受けられる優待カード制度についても検討するなど,社会全体で結婚・子育てを応援する機運の醸成を図ってまいります。  県といたしましては,今後とも,できるだけ多くの県民の方の結婚の希望をかなえられるよう,結婚支援の充実を図ってまいります。  次に,県内に人を呼び込むための若者への支援についてお答えいたします。  まず,県外から人材の還流と地元への定着についてでございます。  議員御指摘のとおり,本県では多くの若者が県外に流出している状況にあることから,企業情報や生活情報などを積極的に発信し,本県の魅力や強みなどを理解してもらう取り組みは,人材の還流と定着を図る上で大変有効であると考えております。  このため,県内外の120の大学や県内経済団体等を構成メンバーとする,「大好きいばらき就職応援“くらぶ”」のネットワークを通じ,就職面接会などの就職イベント情報を学生に提供しております。  さらに,県の就職応援サイトからも,企業情報を初めとした就職情報や本県の暮らしやすさなど生活情報の発信に努めております。  加えて,就職活動に際しましては,保護者の意向が学生に与える影響も大きいことから,保護者向けのセミナーやメール配信などにより,保護者へも就職に関する情報を提供しているところでございます。  今後は,学生や保護者のニーズに即した情報を,SNSや動画等も活用し,確実かつ継続的に提供してまいりたいと考えております。  また,学生の県内企業への就職を促進するためには,インターンシップの推進が大変重要であると考えておりますので,大学・企業等の協力を得て,早い時期からのインターンシップの受け入れを強化し,県内企業への就職につなげてまいります。  さらに,採用の受け手となる企業に対しましては,自社の魅力を伝える情報発信力の強化や採用力の向上などの取り組みを支援してまいります。  加えて,大学と県の連携をより強固なものとするため,県内外の大学と「UIJターン就職の促進に関する連携協定」の締結を進めておりますが,今後は,この協定をより実りあるものとするため,私みずからが大学に出向き,暮らしやすさや働きやすさなど,本県のあふれる魅力を学生の皆様に直接お伝えしたいと考えております。  これらの取り組みに加え,企業誘致はもとより,大学や研究機関と連携し,IoTやAIなどの先端技術を活用した新しい産業を育成し,質の高い雇用の場を創出するとともに,本県への就職をより一層促進するため,県内企業に就職する学生への新たな支援制度の導入についても検討してまいります。  県といたしましては,県内外の大学等や経済団体等との連携を強化し,さまざまな施策を講じることにより,県外からの人材の還流と地元への定着の取り組みを全力で推進してまいります。  次に,若者の経済的安定についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,非正規雇用者は年々増加し,特に,35歳未満の若年者の割合は大きくなっており,正規雇用と比べ,雇用が不安定,賃金が低い,能力開発の機会が少ないといったことが課題となっております。  私としても,本県の発展を担う若い世代が安心して働き経済的に自立できるようにしていくことが,大変重要であると考えておりますので,若年者の正規雇用化に向けて,職業訓練・職業教育などの就労支援に積極的に取り組んでまいります。  具体的には,産業技術短期大学及び産業技術専門学院において,主に高等学校新卒者に対して,ITやものづくりなどの若年技能者を育成する職業訓練を行っており,毎年,修了生の9割以上が正社員として採用されているところでございます。  また,今年度からは,新たに産業技術短期大学校に「IoT」や「ビックデータ」のコースを設置し,新技術に対応できるIT人材を育成してまいりたいと考えております。  さらに,職業経験の乏しい若者などの求職者に対して,民間の専門学校などを活用し,介護,パソコン,医療事務など多様なコースの職業訓練を実施しており,年間700人以上の方を就職に導いているところでございます。  今後,こうした職業訓練につきましては,企業や求職者のニーズを踏まえ,訓練内容を見直し,カリキュラムに反映させるとともに,関係機関等との連携を強化することにより,訓練の一層の充実を図ってまいります。  また,新たな取り組みとして,若者などの正規雇用化を促進するため,働きながらビジネスマナーや現場で必要とされる資格・技能を習得できる研修雇用一体型の事業にも積極的に取り組んでまいります。  一方,こうした若者の正規雇用化を推進するためには,働く場を確保することも大変重要であります。企業の生産性の向上や経営基盤の強化を図るなど,産業政策と一体となって,安定した雇用の場を創出してまいります。  県といたしましては,少子高齢化の進行による生産年齢人口の減少が見込まれる中,雇用情勢が改善しているこのタイミングを逃すことなく,より効果の高い訓練の実施や安定した雇用の創出により,非正規労働者の希望や能力に応じた正規雇用化を全力で進め,若者の経済的安定を図ってまいります。  次に,東京圏への通勤圏の拡充のための公共交通の充実についてでございます。  まず,常磐線に対する所見でございますが,常磐線は本県を南北に縦断し,首都東京とを結ぶ大動脈として通勤・通学はもとより,県民生活や経済活動に大きな役割を果たしております。  常磐線を充実させ,利便性を高めることは,利用者の増加や広域的な交流の促進,さらには地域の活性化につながり,本県が将来にわたって活力ある地域であるためにも極めて重要であると考えております。  次に,東京圏への通勤圏の拡充を視野に入れた公共交通の充実についてでございますが,本県におきましては,常磐線,つくばエクスプレス等の利便性を高め,充実を図ることが利用者の増加,ひいては通勤・通学圏の拡充につながっていくものと考えております。  このため,特に,議員御指摘の常磐線につきましては,これまで官民一体となって,JR東日本への要望や利用促進活動等を継続して行い,東京・品川駅への乗り入れの実現や拡大など,利便性の向上を強く目指してまいりました。  このような中,一昨日,10月14日のダイヤ改正により,朝の通勤時間帯における取手より北発の列車の東京・品川駅への乗り入れが初めて実現したほか,品川駅発着の普通・特急列車が上下合わせて46本も増加し,加えて土浦・品川間の全ての普通列車が15両編成になるなど,通勤・通学の利便性が飛躍的に向上したところでございます。  県では,今回のダイヤ改正を広く周知し,常磐線の利用促進を図るとともにダイヤ等に関する県民の意向の把握に努め,JRへの働きかけを行いながら,引き続き,県民の通勤・通学の足としての常磐線の充実を図ってまいります。  なお,議員から御提案のありました愛称の設定につきましては,沿線自治体やJR東日本など,関係団体との合意形成をいかに図っていくかが重要であり,そのためには,地元の機運醸成が大切でありますので,地元の動きを注視してまいります。  県といたしましては,今後とも,東京圏への通勤圏の拡充はもとより,県民が日常生活を安心して送るためにも必要不可欠な公共交通の充実に全力で取り組んでまいります。 25 ◯森田悦男副議長 次に,盛谷企画部長。                    〔盛谷企画部長登壇〕 26 ◯盛谷企画部長 本県の特性を生かした科学技術人材の育成についてお答えいたします。  人口減少社会において,我が国が将来にわたり持続的に発展していくためには,科学技術イノベーションを担う人材の育成が不可欠であり,つくばや東海地区など最先端の科学技術が集積する本県の役割は,極めて大きいと認識しております。  まず,議員御指摘の原子力に関する高い専門性を持つ人材の確保についてでございますが,現在,東海地区にあります日本原子力研究開発機構「原子力人材育成センター」において,放射線利用技術や原子力基盤技術など,社会のニーズに対応した高度な人材育成が行われております。県におきましては,こうした取り組みをさらに強化するため,予算の確保やカリキュラムの充実などの要望活動を実施しているところでございます。  また,昨年開設されました茨城大学大学院「量子線科学専攻」におきましては,東海地区における原子力施設の集積を生かした講義や実習が行われているところでございまして,県におきましても,教育・研究環境の整備や,県ビームラインでの実習等さまざまな支援を行っているところでございます。  一方,科学技術イノベーションを推進していくためには,原子力分野のみならず,科学技術のさまざまな分野で活躍できる次世代の人材を育成することが重要でございます。  このため,学校教育におきまして,小学校理科の教科担任制の実施や,中学校での本県独自の理科教材の開発・活用,さらにはスーパーサイエンスハイスクールにおけます理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発や,その成果発信など,理数教育の充実を図り,子どもたちの科学技術への関心や素養を深めているところでございます。  また,トップレベルの理系人材の育成を目指し,本年度は,高校生を対象とした化学・地学・情報の3つのオリンピック全国大会に加え,昨年度誘致に成功いたしました,中学生を対象とした「科学の甲子園ジュニア全国大会」を開催する予定となっております。  大会の中では,将来の進路や目指す専門分野について深く考えてもらえますよう,つくばの科学技術や研究に触れる機会も設けているところでございます。  さらに,つくば国際戦略総合特区プロジェクトにおきましては,次世代の科学技術をリードする若手研究者や学生を育成するため,筑波大学や産業技術総合研究所,物質・材料研究機構など,つくばの中心的な研究機関や産業界の連携・協力のもと,連携大学院制度を構築し,つくばの最先端研究設備や人材を活用した質の高い教育機会を提供しているところでございます。  県といたしましては,引き続き,科学技術の集積する本県の特性を最大限に生かし,人材育成に積極的に取り組むことによりまして,我が国の科学技術の振興に貢献してまいります。  次に,過疎地域の振興についてお答えいたします。  まず,現行の過疎法の評価についてでございます。  過疎法は,昭和45年から4次にわたって議員立法により制定されてまいりましたが,過疎法に基づく過疎対策事業債や国庫補助率のかさ上げ,基幹道路に係る県の代行整備などの支援措置は,財政力の弱い過疎市町にとって効果的な支援策であり,これらを活用し,道路や上下水道の整備,巡回バスの運行,医療機関の確保など住民生活にかかわる生活環境基盤の整備,工業団地の整備による雇用の場の確保などが促進され,地域の振興が図られているところでございます。  このように,過疎法は過疎地域の振興に非常に有効であり,果たしてきた役割は大きいものと考えております。  次に,今後の過疎地域の振興についてでございます。  本県の過疎地域は,これまで県北山間部の3市町及び県央の城里町の4地域であり,これらの市町は山間部にあることや東京までの距離といった地理的条件が不利な地域にあり,県内の他の地域に比べまして少子高齢化や人口減少が著しく,極めて厳しい状況にございます。  このため,市町では過疎法による支援措置を最大限活用しながら積極的に施策を推進しており,県といたしましても財政的な支援を行っているところでございます。  こうした中,このたびの法改正によりまして過疎地域の要件が見直され,利根町が新たに過疎地域に指定されたところでありますが,利根町は東京に近接し,JR常磐線や成田線が近くを走り,また,平成27年に実施されました国勢調査の結果で,前回調査時より唯一,人口が増加している県南地域にあるなど,県北地域が置かれている状況とは異なっております。  こうした状況などを踏まえまして,過疎地域の指定に至った経緯をしっかりと分析した上で効果的な振興策を講じていくことが重要であると考えております。  過疎地域に指定された各市町におきましては,法に基づきそれぞれ「過疎地域自立促進計画」を策定し,創意工夫によるさまざまな振興策に取り組んでいるところでございます。  利根町におきましても,先般,同様の計画を策定したところでございまして,近く説明会を開き,過疎地域の指定に至った経緯や,この計画の内容について住民の方々に周知していく,そういう予定と伺っております。  県といたしましても,これまで「過疎地域自立促進交付金」による財政的な支援や基幹道路の代行整備等によりまして,市町の取り組みを支援してきたところでございますが,今後とも交流人口の拡大や産業の創出等を図るためには,どのような振興策が求められているのかを的確に見きわめながら,過疎地域の一層の振興に向けてしっかりと取り組んでまいります。 27 ◯森田悦男副議長 次に,富永土木部長。                    〔富永土木部長登壇〕 28 ◯富永土木部長 短時間での大雨に対応する河川整備についてお答えいたします。  近年,全国的に局所的な集中豪雨による大災害が頻発する中,本県におきましても関東・東北豪雨などの浸水被害が各地で発生していることから,ハード・ソフト両面での対策を実施していくことが非常に重要であると認識しております。  県が管理する河川におけるハード対策については,これまで,時間雨量50ミリメートルに対応する整備を基本に進めてきておりますが,整備率はいまだ34%にとどまっていることから,今までにも増して河川整備を強力に推進するとともに,短時間での大雨への,より効果的な対応について検討していく必要があると考えております。  しかしながら,河川事業の予算につきましては,国の交付金の影響を大きく受けることから,必要な予算の確保に向けて,市町村と連携を図り,これまで以上に国への働きかけを強化してまいります。  また,整備に当たりましては,限りある予算を有効に活用するため,緊急性や重要性が高い河川から優先順位をつけて行うなど,効果的な整備に取り組んでまいります。  具体的には,近年,大規模な被害が発生した八間堀川や恋瀬川,土地区画整理事業や国直轄の河川改修などと一体的な整備を要する相野谷川や女沼川などについて,重点的な整備を進めてまいります。  しかし,短時間での大雨に対応するためには,未整備区間におけるボトルネック箇所を解消するなど,即効性のある対策を行い,流下能力の向上を図る必要がございます。  このため,実施可能な範囲で,河川断面を拡大するための掘削や,流れを阻害する橋梁のかけかえなどを進めてまいります。  一方,ソフト対策につきましては,「想定し得る最大規模の降雨」を前提条件として,対象となる県内17河川の新たな洪水浸水想定区域図を作成し,先月末までに公表したところでございます。  また,新たに設置した河川監視カメラの画像や,増設を進めている水位計の観測情報を,県のホームページで配信するとともに,今後は民間のスマートフォンアプリを活用した情報提供にも取り組んでまいります。  県といたしましては,今後も引き続き,短時間での大雨による浸水被害を少しでも軽減できるよう,ハードとソフトを一体として取り組んでまいります。 29 ◯森田悦男副議長 次に,小野寺教育長。                    〔小野寺教育長登壇〕 30 ◯小野寺教育長 いじめ問題への対応についてお答えいたします。
     まず,過去のいじめを教訓とした取り組みについてでございます。  御指摘のように,いじめ防止に向けた法や基本方針が整備された以降も,依然として全国的にいじめに起因した自殺や行政の不適切な対応が発生しております。改めて,我々教育関係者が法令への理解はもとより,いじめに対するしっかりとした認識と自覚を持ち,緊張感を持って対応することの重要性を痛感しております。  県の基本方針でも示しておりますように,いじめ問題への対応でまず基本となるのは,未然防止でございます。  現在,学校では互いを尊重し合う授業の実践事例集として作成いたしました授業スタイルブックを活用し,いじめを生まない集団づくりに取り組んでおります。  今後は,特に就学前教育の中で「いじめは絶対に許されないもの」という価値観を幼児期から醸成するとともに,来年度から教科化される「道徳」の授業を通じて,子どもたちの思いやりの心や規範意識をしっかりと育んでまいります。  また,県の基本方針では,いじめ問題は学校だけではなく,社会総がかりで取り組んでいくこととしております。そのため,学校関係はもとより,法務,福祉関係など県内33の機関及び団体で構成する「茨城県いじめ問題対策連絡協議会」を設置し,定期的に会議を開催して相互の連携を図っております。  去る4月に開催されました会議では,いじめを受けた児童生徒が不登校に陥るケースが多いことから,いじめによる不登校への対応をテーマとして活発な意見交換を行い,関係機関の間で情報を共有したところでございます。  一方,議員御指摘のとおり,基本方針に基づく実効性のある対策として,過去のいじめを市町村や学校が教訓として生かしていける仕組みづくりが必要であり,それはまさに県の重要な役割でございます。  このため,まずは県として今回の取手市の一連の対応をしっかりと検証し,その問題点や改善すべき点などを学校や市町村の担当者向け研修会などにおいて具体的に示すことで,関係者が法制度への理解を深め,共通認識を持って個々のいじめ事案に適切に対応できるよう努めてまいります。  あわせまして,こうした対応を日ごろから徹底していくため,今後新たに市町村及び学校向けのマニュアルやチェックリストを作成してまいります。  県といたしましては,今後ともいじめ防止基本方針に基づき,過去のいじめを教訓としつつ,実効性のあるいじめ防止対策を推進してまいります。  次に,専門家の活用についてお答えいたします。  本県では,現在,児童生徒の問題対応のため,スクールカウンセラーを全ての市町村立小中学校及び県立高校に配置あるいは派遣できる体制を構築しており,また,スクールソーシャルワーカーにつきましても,その派遣対象を,これまでの市町村立学校に加え,昨年度より県立学校に拡大いたしております。  こうした中,国では本年4月に学校教育法施行規則の一部が改正され,スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーがそれぞれの専門性を生かして児童生徒の支援に当たる学校職員として法令上に位置づけられました。  これを受け,今後はこのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど外部専門家もメンバーに含むチーム学校体制を構築するとともに,さらなる積極的な活用を図ってまいります。  一方,専門家の活用に当たりましては,教員と専門家の役割分担を明確にし,その上でしっかりと連携して対応することが必要であります。まずは日々子どもたちと身近に接する教員自身が,専門家任せにせず,子どもの小さな変化を見逃さない観察力を磨き,主体的にいじめ問題に対応することが何より大切であります。  その上で専門家は適時適切に子どもや教員の相談に応じるとともに,校内研修などを通して教員のカウンセリングマインドの向上を支援するなど,今後専門家を効果的に活用した連携体制を強化してまいります。  議員から児童生徒が気軽に相談できる手法として,SNSの活用について御提案をいただきましたが,現在,県では県内5カ所のいじめ・体罰解消サポートセンターに「いじめなくそう!ネット目安箱」を設置し,24時間体制で相談などのメールを受け付けております。  SNSの活用につきましては,先月,LINEを使った相談を試行的に実施した長野県において,相談件数が大幅に増加し大きな効果が期待できるとされておりますので,今後はこうした事例も参考にしながら,積極的に導入を検討してまいります。  県といたしましては,今後とも専門家のさらなる活用に努め,いじめ問題を初めとする児童生徒の諸問題に適切に対応してまいります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 31 ◯森田悦男副議長 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は午後3時45分を予定いたします。                     午後3時26分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後3時46分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 32 ◯藤島正孝議長 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  なお,傍聴人の皆様に申し上げます。傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。  福地源一郎議員。                 〔53番福地源一郎議員登壇,拍手〕 33 ◯53番福地源一郎議員 いばらき自民党の福地源一郎でございます。  質問に先立ちまして,大井川新知事の御就任を心からお祝いを申し上げる次第であります。今定例会の質問者は,私で16人でございます。お疲れのこととは存じますますが,お付き合いのほど,よろしくお願いいたします。きょうは私の地元というより,知事の地元の方々,来ておりますので頑張ってやりましょう。  また,登壇の機会を与えていただきました先輩議員各位,並びに同僚議員各位に感謝を申し上げながら,限られた時間でありますので,直ちに質問に入らせていただきたいと思います。知事初め,警察本部長,関係部長,教育長にはすばらしい答弁を求めたいと思います。  大井川知事におかれましては,さきの知事選挙を通して本県の地方自治にふさわしい自立を維持し,人口減少社会への対応を初めとして,景気や雇用,医療・福祉,環境,教育,農林水産などさまざまな県政課題に対する県民の負託に応え,時代の要請に応じた簡素にして効率的な行財政体質を確立することを,チェンジ&チャレンジとして訴えてきたのだと確信しております。  今定例会冒頭の所信表明においても,4項目の新しい茨城づくりを明言され,地方経済の閉塞感打破に挑戦する意思表明をされた,このように感じております。我がいばらき自民党の重要施策大綱に示した解纜の時を迎えたのであります。茨城県を「県民が日本一幸せな県へ」と訴えてきた知事でございますので,大きな期待をいたしながら,初めに,安定的財政構造の確立についてお尋ねをいたします。  本県の財政状況を俯瞰いたしますと,1995年度以降,当初予算は1兆円を超える規模で推移してきたところであります。一方,人件費及び社会保障関連費などの義務的経費が増加傾向であり,財政構造の慢性的硬直化が進んでおります。加えて,保有土地等に係る実質的な将来負担や臨時財政対策債の償還増もあることから予断を許さない状況にあることは,議員各位御案内のとおりであります。  今後の財政収支見通しは,県総務部で試算されているとおり,2018年度以降も歳入不足が見込まれ,歳入確保と歳出改革の対応が必須の課題であると,このように考えられます。  本県の実質的な一般財源総額は6,880億円余と試算されており,本県の財政は国の財政状況等の影響を大きく受けることから,安定的財源確保と財政硬直化対策を図ることは重要な課題であり,早急な対応が迫られているわけであります。  そのためには,本県は新たな産業と雇用を生み出す産業政策を立ち上げる必要があり,自然エネルギー,農業,福祉等の分野を中心とした施策のほか,AI(人工知能),IoT(ビックデータの解析技術),またICTといわれる情報通信技術など,さらにはVR,ARといわれたロボット技術なども含めて産業構造への転換を図るということが求められているものであり,それが財政構造への自立に向けた大きな道しるべとなるわけであります。  これまで以上に持続可能で健全な財政構造の確立が必須条件であると思われますので,本県の財政構造改革について知事の御所見をお伺いいたしますとともに,知事が提案されている県民生活に直結した新しい切り口の政策立案や,政策実現に挑戦する積極的で弾力的な財政運営について,どのようなお考えであるのかお示しいただきたいと思います。知事の御所見を伺います。  次に,原子力事業と核のごみ処理について,知事にお尋ねいたします。  私たちの暮らしや産業に欠かせない電力の供給をめぐる実情は,2011年3月の東日本大震災以降,危うい状況が続いております。御承知のように,化石燃料に頼る火力発電の比率が8割を超えております。原子力発電の再稼動は遅々として進展していない状況であります。この現状は,エネルギー安全保障上,極めてリスクが高いものと考えられます。  また,原子力発電の稼動から半世紀余りが経過し,我が国の原発で使用された燃料由来の高レベル放射性廃棄物が大量に発生し続けているという現実もあります。  いわゆる「核のごみ」については,地下深くに埋設処分する「地層処分」を行うという方針で,経済産業省も本年7月28日,日本地図を4色に塗り分けて示した「科学的特性マップ」を公表いたしました。本県も海岸部の多くの地域が輸送面でも好ましい地域とされて示されたところでありますが,議員の皆さんも御覧になっていると思われます。  日本では2000年6月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が公布され,ガラス固化体とした高レベル放射性廃棄物の処分については,30年から50年の冷却期間の後,地下300メートルより深い岩盤に埋め,隔離して最終処分としております。現在,地層処分対象のガラス固化体は,国内に2,448本ございます。国内原発の使用済み核燃料を全て再処理しガラス固化体にしたと仮定いたしますと,さらに2万5,000本になると試算されておるわけであります。  先週10月11日の原子力規制委員会において,青森の六ヶ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場が保安規定違反と判断され,稼動を今できていないという状況で,将来もできないというような感じがいたします。原電のウラン濃縮工場も同じように保安規定違反として運転開始が危ぶまれているという状況の中で,施設管理がずさんだと,このように思うわけであります。  科学的特性マップは,私たちの考えているような状況にないと思いますし,このようなガラス固化体の稼動ができないということは,絵に描いた餅になるような感じがいたします。新たに原発の最終処分の方向性を示したものではないと思いますし,地層処分が我々国民にも理解されたわけではないと,私は思っております。  我が国が2015年7月の「長期エネルギー需給見通し」において,徹底した省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電の効率化などによる原発依存度の低減を打ち出しているところでありますが,政府の方針は,安全性が確認された原発については再稼動を進めていくとされていることから,原発の高経年化対策や放射性廃棄物の処理・処分問題への対応など万全を期するよう,国や関係機関に強く働きかけていくべきだと考えます。  そこで,高レベル放射性廃棄物の最終処分場について,知事はどのようにお考えをお持ちなのか,県民や自治体の意思を確認するなどの考えがあるのでしょうか。  また,原発の利益を享受してきた我々の世代が,将来世代に負担を先送りせず,最終処分の結論を導き出す責任があるという意見もあることから,高レベル放射性廃棄物の処理については,最大で10万年という期間を要する地層処分の方針は,私たちは現世代の責任として将来の世代に判断を委ねることなく,そのように解決していきたいという思いを持っております。知事はどのように感じておられるのか,御所見をお伺いするものであります。  次に,国民健康保険制度改革についてお尋ねいたします。  今日まで我々国民が医療において恩恵を享受してきた健康保険制度であります。現在は,高齢化社会とともに国民の総医療費は約42兆円に達し,特に市町村ごとに運営されている国民健康保険では,年齢構成も高く,医療水準が高いということもあって,構造的な課題から財政問題が深刻化しているため,その対応が大きな課題となっていたわけであります。  そのため,2018年度から都道府県が財政運営の責任主体となり,安定的な財政運用や効率的な事業確保のため,国保運営の中心的役割を担うことになったわけであります。  現在,県は国保制度移行に向けた市町村との協議体制を構築し,運営に係る協議・検討を進めておりますが,新制度への移行後も国による財政支援の拡充及び継続的な財政措置による財政基盤の安定化が図られるべきと考えます。  また,県は市町村が保険料率を決定する際の資料として標準保険料を示すことで,保険料の公平化と国保制度の県民理解が促進されるものと,このように考えているものであります。しかし,残念ながら,来年度から開始する国保制度改革について,被保険者や医療機関に対する十分な説明の機会が設けられていないと感じております。  そこでお尋ねするのは,まず,人口,面積,医療資源の分布,所得水準など市町村間の格差がある中で,納付金・標準保険料率の算定において,医療費水準や所得水準などが反映されるのかどうか。また,被保険者の保険料負担が急激に増加することを回避する措置が適切に行われるのかどうか。さらに,将来的に県内で保険料水準を統一する場合,決定した保険料と医療の受診機会均等のバランスが確保されるのか,以上3点について保健福祉部長に御所見を伺います。  次に,福祉政策の課題についてお尋ねいたします。  初めに,在宅医療と介護の連携体制構築についてであります。  2016年8月に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」において,介護の受け皿整備と人材の処遇改善及び離職対策なども打ち出された一方,介護保険におけるサービスの縮小や自己負担増の議論も本格化しております。安定的な財政確保が難しい状況の中,利用者へのしわ寄せが進むと危惧されるものであります。  2000年に3兆円で発足した介護保険財政でありますが,2016年には10兆円を超える規模になったのであります。要介護認定者も発足当初は218万人でありました。本年6月末時点では637万人に増加し,近年では負担増とサービス削減が話題になっております。この制度設計は人生80年を基準としたわけでありますが,今後は人生100年というものが制度設計の議論になるわけでありまして,65歳を定年としますと,残る30年余は高齢者生活となるわけであります。  多くの人が長生きする社会は,障害を持つ人がふえる社会でもあり,誰もが弱者に変容するという時期があることを考えますと,一億総弱者社会であると言えると思います。弱者が必要とするケア資源の確保というものは,国家と地域社会の責任と使命であると,このように考えます。  現在は家族の介護を理由に仕事をやめる人も年間10万人に上ると報道されたところございます。これまで社会保障施策として「介護離職ゼロ」の実現のため,「施設」から「在宅」へのシフトを掲げ,介護施設の新設を抑制し,住みなれた地域で暮らし続けながら,24時間巡回サービスや,往診・訪問介護を受けられる「地域包括ケアシステム」を普及する方針を打ち出しておりましたが,十分に機能しておりません。  この在宅介護の希望をかなえていくためには,在宅医療に取り組む医療機関の増加を図るとともに,医療と介護の連携が不可欠であること,また,介護する家族に対する支援も含め,支援体制を地域全体で構築することが重要であると,このように言われております。  そこで,地域における在宅医療と介護の連携を目指す,切れ目のない医療・介護サービスの提供を実現するため,本県としてこれまでどのような対応をしてきたのか,また,これからどのような対策をしていくのか,その考え方を保健福祉部長の御所見でお伺いいたしたいと思います。  次に,介護職員の確保策についてお尋ねいたします。  2015年に内閣府では介護離職ゼロ作戦を打ち出したことは,先ほども申し上げましたが,2016年には育児・介護休業法も改正され介護休業取得要件を拡大したところであります。  特に介護職員の処遇改善として加算制度を設けたところであります。弱い立場にある人の命を支える介護職員に対し,介護改善はもちろんのこと,押し寄せる高齢者人口構成から見ても,今後増大する介護労働力の需要を賄うことは困難ではないかと,このように思われます。  そこで,県における介護職員の確保に関する具体的な取り組み方針と同時に,来月11月1日から「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が施行されます。技能実習生の保護と対象職種に「介護職」が追加されたわけであります。この法律では,送り出し国のチェックと受け入れ先企業の監視体制を強化するということもありますが,優良な受け入れ先については,実習期間を5年に延長するなど,実習生の受け入れが拡大されることになります。  そこで,今回の外国人技能実習生制度について,特に介護分野においては我が国の国際貢献としても推進すべきものでありますが,県として何らかの特別な支援策を講ずるべきと考えますが,その点について保健福祉部長の御所見を伺います。  次に,難病患者等への支援についてお尋ねをいたします。  2015年の「難病の患者に関する医療等に関する法律」が施行されて以来,指定難病の対象疾病も330疾病に拡大したところであります。去年もお伺いした課題であります。この新制度の拡大に伴う医療費助成制度の延べ対象患者数は,2015年度末では1万8,591人であったものが,2016年度末では1万9,576人と増加傾向にあります。この難病法には,療養生活環境整備事業の規定もあり,難病対策地域協議会の設置の努力目標を定めておりますが,地域における関係機関等との支援体制のネットワークの構築がいまだに図られていないところも多く,在宅医療支援体制が不十分であり,長期療養生活を要する患者等の抱える身体的,肉体的,あるいは経済的負担が大きいといった課題が残ったわけであります。  そこで,このように在宅療養支援体制の充実強化が求められている中で難病医療従事者の研修,さらには難病相談支援等の対応状況の改善など,在宅医療支援の充実強化をどのように我が県では進展したのかお尋ねをいたします。  あわせて,本県の精神障害者を対象とした障害年金の支給率が全国ワースト2位になっております。23.2%となっておるわけでありまして,そこで本県として重度心身障害者などを対象とした医療費助成制度,いわゆるマル福制度制度の拡充のために解決すべき課題についてどのように捉え,また対応していこうとしているのか,保健福祉部長にお伺いいたします。  次に,外国人労働者への対応について警察本部長及び農林水産部長にお伺いいたします。  社会情勢の変化を反映し,各種犯罪や治安情勢は厳しい状況にあるものと感じているのは,我々だけでなく,国民全員が感じている共通の思いだと思います。  今般,県警においては未解決殺人事案,自動車盗事案,大量麻薬密輸事案など的確に捜査に当たり,検挙,逮捕など積極的に取り組み,安全で安心して暮らせる地域社会の確立のために尽力をしている警察官に対し,敬意と感謝を申し上げる次第であります。  最近感じておりますのは,グローバル化傾向の外国人組織犯罪が目立ち,来日外国人の不法滞在・不法就労及び悪質雇用主が県内でも多く摘発されているということであります。  2012年から新たな在留管理制度がスタートしたわけであり,「在留カード」や「特別永住者証明書」が発行されているにもかかわらず,精密な偽造証明書がつくられているという現状において,組織的な関与が推測されております。2016年中に入国管理法違反で退去強制手続がとられた外国人は,全国で1万3,361人であり,うち不法就労事実が認められた者は9,003人で,67%になっております。  本県におきましては,2016年度の不法就労者2,038人のうち,農業従事者が1,443人,約7割を占めております。次いで建設作業者が148人,工員が135人となっており,特に農業分野において憂慮する事態にあります。  また,本年の7月までの本県入管法違反の検挙人数も224人を数え,増加の一途であります。  特に本県は,入管当局から退去強制となった外国人の不法就労先として,2年連続で全国最多となっていることから,これは各位御承知のところであります。  また,県内の凶悪事件にかかっている事案もあり,不法就労・不法滞在がさまざまな犯罪の温床にもなり得ると感じております。偽造在留カード関連事犯が多発しているということから,在留カードの偽変造と就労制限の有無を確認する方法を関係機関に周知徹底すべきであると思いますし,さらに,不法滞在者や悪質雇用者,不法就労斡旋ブローカーの検挙など,不法就労を支えている犯罪インフラの崩壊を目指し,その対応について県警本部長にお伺いをするものであります。  また,「外国人技能実習生の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」,いわゆる「技能実習法」が来月11月1日から本格施行になるわけであります。これまでの実習生の失踪は,不法就労や犯罪の呼び水となり,特に農業のイメージダウンになり,ひいては茨城県の農業ブランドを毀損するということにつながりかねません。新法の施行を契機に,市町村や関係機関と連携し,失踪防止策を責任を持って講ずるべきであるといえます。  先ほど,不法就労者の対策については,警察本部長の対応をお伺いいたしましたが,そもそも,このような問題が顕在化したのは,行政と関係機関側の対応が漫然としていたことと,制度的不備によるものが背景に大きくあるのではないかと考えております。  警察だけではなく,行政機関も厳しく,責任を持って犯罪防止に対応することが望まれるところでありますので,そこでこれらについて農林水産部長の御所見をお伺いいたします。  続いて,漁業の担い手対策について通告いたしましたが,今回は質問をしないということにいたします。  最後に,非正規雇用教員の処遇改善についてお尋ねいたします。  2016年には格差・貧困の一段の深まりが話題になったところであり,団塊ジュニア世代の多くが2000年前後の就職氷河期において就職できず,その後も非正規雇用労働者のまま中高年に至っているという時代がありました。  しかも,2000年以降も若年層の非正規雇用率は高どまり傾向であるため,潜在的な中高年フリーターの予備軍が多くなっている可能性があります。このことは,中高年フリーターの登場と軌を一にして奨学金返済訴訟が頻発している現状と,現在の若者も奨学金を借金することでみずから負債を抱えていることが多くなったとの報道からも見てとれます。  政府は,2016年8月に閣議決定した「未来への投資を実現する経済対策」の中に,「働き方改革」を盛り込み,「同一労働同一賃金を実現し,非正規という言葉をこの国から一掃する」と力説をしたわけであります。先ほど川口議員の質問にも同様の質問がありました。  このような労働と雇用の環境の中に,非正規雇用の教員が存在する事実があります。  子どもの貧困やいじめ,不登校,障害のある子どもへの対応など,複雑,困難化する教育の現場において,教育課題に対応するため教員の配置や質の向上を図ることが重要であります。  しかし,教育現場においては非正規雇用の教職員の割合がふえており,人件費を抑制しようとする動きが顕著になっているのではないかと感じるところであります。非正規雇用教員は1,900人おります。正規雇用の職員と同じように担任や部活動の指導なども担っているにもかかわらず,正規雇用教員との給与格差は大きく,また,毎年更新を繰り返し不安定な雇用状況にあり,生活自体もままならない状況であるとの声が出ております。  教育行政においては,ブラック企業として存在するものではありません。子どもたちが安心して教育を受けられることが望むべき体制であり,非正規雇用教員の労働に見合う待遇改善や,正規の教員雇用をふやすことが望まれますが,非正規雇用教員の処遇改善についてどのように取り組まれていくのか,教育長にお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 34 ◯藤島正孝議長 福地源一郎議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 35 ◯大井川和彦知事 福地源一郎議員の御質問にお答えいたします。
     まず最初に,私への知事就任のお祝いの言葉をいただきましてありがとうございます。  安定的財政構造の確立についてお尋ねをいただきました。  私は,人口減少が進むこれからの10年間が,本県にとってまさに正念場であり,未来に希望が持てる茨城県を築いていくための大変重要な時期であると認識しております。そのような時期において,安定的財政構造を確立することは,もちろん極めて重要な課題ではありますが,そのことだけに縛られ,必要な施策の実施を躊躇していては長期的に見て,本県の衰退は避けられません。  本県を「活力があり,県民が日本一幸せな県」とするためには,産業や人材の育成など,本県を大きく飛躍させるために真に必要な事業には大胆に取り組んで行かなければならないと考えております。  翻って,本県の財政状況を見てみると,急速な高齢化の進展などにより,国と同様に社会保障関係費が右肩上がりで増加しており,今後,予算に占める義務的な経費の割合は一層高まっていくものと見込まれております。  このように財政が硬直化する中でも,私は公約として掲げた4つの「新しい茨城づくり」の政策をスピード感を持って実行することが重要であると考えており,その財源を確保するためにも,歳入の拡大と歳出改革を積極的に進めてまいります。  まず,歳入につきましては,私自身がトップセールスを行うことにより,企業誘致を強力に進めるほか,中小企業の成長支援,質の高い雇用の確保,農業や観光の振興など,本県をより豊かで稼げる県にする取り組みを進め,税収の増加につなげてまいります。  また,課税自主権の活用や県有未利用地の売却,広告収入の確保など,あらゆる対策を講じてまいります。  次に,歳出につきましては,私の民間企業で培った経営感覚を生かして,これまで行ってきた事務事業をゼロベースで総点検し,スクラップ・アンド・ビルドを徹底して実施します。  また,ITの活用やアウトソーシングの拡大などにより,コスト削減と事業の効率化を図ってまいります。  これらの取り組みにより,新たな事業に充てる財源を生み出し,「新しい茨城」づくり,躍動する県政の実現に積極果敢に挑戦してまいります。  次に,原子力事業と核のごみ処理についてであります。  高レベル放射性廃棄物の処理処分問題につきましては,東海再処理施設に306本のガラス固化体が保管されております本県といたしましても,大変重要な問題と考えており,これまで国に対し,ガラス固化体の最終処分の取り組みについ再三要望を行ってきているところでありますが,進展は見られていない状況にございます。  このような中,国におきましては,先般,科学的特性マップの提示などの取り組みが進められており,今後,国民に対して理解促進活動を実施していく予定としておりますことから,県といたしましてはその動向を注視しているところでございます。  高レベル放射性廃棄物の最終処分場の立地につきましては,安全性はもとより,地域住民の理解が最重要でありますが,議員お尋ねの県民の皆様や自治体の意志を確認することにつきましては,科学的特性マップが公表されて間もない段階で,市町村からの立地の意向もないことから,現時点では考えておりません。  また,高レベル放射性廃棄物の処理処分問題につきましては,議員御指摘のとおり,長期にわたるものであり,国が前面に立って責任を持って解決していくべきものと考えておりますことから,県といたしましては,今後も引き続き高レベル放射性廃棄物,具体的にはガラス固化体の最終処分につきまして,国が積極的に取り組んでいくよう働きかけてまいります。 36 ◯藤島正孝議長 次に,木庭保健福祉部長。                   〔木庭保健福祉部長登壇〕 37 ◯木庭保健福祉部長 国民健康保険制度改革についてお答えいたします。  まず,納付金及び標準保険料率の算定についてでございます。  新制度におきましては,県が市町村ごとの県に納付する国保事業費納付金の額を決定するとともに,市町村が保険料を決定する際に参考とするための標準保険料率を算定・公表することとなります。  これらはいずれも市町村の国保運営に大きな影響をもたらす重要な事項でありますことから,その算定方法につきましては,市町村と丁寧な協議を重ねるとともに,外部有識者で構成する「国民健康保険制度移行準備委員会」の御意見も聞きながら検討してまいりました。  その中で,委員からは,市町村間の医療費の格差を考慮する必要があるという意見や,医療費適正化への取り組み意欲の向上を図ることが重要であるといった御意見をいただきました。  これらの御意見を踏まえ,本県におきましては,市町村ごとの医療費水準と所得水準を反映した算定方法によるところとしたところでございます。  次に,被保険者の保険料負担についてでございます。  新制度への移行後も保険料で徴収すべき額につきましては,県全体の総額では変わりませんが,市町村ごとでは,新しい算定方法が導入されることにより,現行制度と比べ増減することが想定されます。  現在,平成30年度の納付金及び標準保険料率の算定を行っており,この中で保険料で徴収すべき額が大幅に増加する市町村については,被保険者の保険料負担の急激な増加が回避できるよう,激変緩和のための財政措置を実施してまいります。  次に,保険料と医療の受診機会均等のバランスについてでございます。  現在,県内市町村間におきましては,医療機関への受診のしやすさや医療費適正化の取り組みの違いなどもあり,1人当たりの医療費で約1.4倍,保険料で約1.6倍の格差がございます。そのため,本県の新制度における標準保険料率では,市町村ごとの医療費等の状況を反映することとしております。  将来的に,保険料水準の統一を検討するに際しましては,市町村間の医療費水準の格差なども考慮しながら,市町村と協議を行ってまいります。いずれにいたしましても,本県国保が公平かつ公正な運用が行えるよう,引き続き,市町村と協議を進めますとともに,市町村と連携して新制度の周知にも意を用いながら円滑な制度移行に努めてまいります。  次に,福祉政策の課題についてお答えいたします。  まず,在宅医療と介護の連携体制構築についてでございます。  今後,高齢化が急速に進むことに伴い,通院することが困難な高齢者がふえるなど,在宅医療・介護のニーズが高まることが予想されます。  昨年取りまとめられた茨城県地域医療構想におきましては,団塊の世代の方が全て75歳以上となる2025年には,2013年に比べ在宅医療等の重要が約4割上昇するものと推計されており,地域における在宅医療の取り組みを促進することが,今後ますます重要になってまいります。  県では,これまで「いばらき高齢者プラン21」に基づき,誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう,医療と介護のサービスを一体的に提供できる体制の構築に努めてきたところです。  その中で,24時間,365日,切れ目なく必要なサービスを提供するため,モデル事業として,市町村や郡市医師会等に働きかけ「在宅医療・介護連携拠点事業」を実施し,多職種間の「顔の見える関係づくり」を進めるとともに,病院・診療所の連携体制の構築等に取り組んでまいりました。  今年度からは,県医師会の連携して県内全ての郡・市医師会を訪問し,各地域の医療機関に対する在宅医療への参入の働きかけを行うとともに,モデル事業の成果を踏まえ,全国に先駆けた取り組みとして,複数医師による診療体制の仕組みづくりを支援する「医療提供施設等グループ化推進事業」を実施しているところです。  今後さらに,地域の医療機関への働きかけを強化し,在宅医療への参入を促進することにより,平成30年度には全ての市町村が在宅医療と介護の連携推進に取り組むことができるよう支援してまいります。  さらに,在宅医療を支える上では,ICTの効率的な活用も有用と考えられます。具体的には,訪問看護ステーションと連携し,遠隔技術により,血圧や脈拍,体温などの状態確認を効率的に実施できるよう検討しているところであり,関係機関と連携しながら必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  また,「ファミリーケア」を理念の1つに掲げる「茨城型地域包括ケアシステム」の構築を推進し,地域全体でサポートすることで,介護する家族が社会から孤立することのないよう支援しているところです。  県といたしましては,在宅医療と介護との連携をさらに推進し,切れ目のないサービスの提供体制を構築することで,誰もが安心して暮らし続けることができる地域社会の実現に向け,全力で取り組んでまいります。  次に,介護職員の確保策についてでございます。  高齢化の進展に伴い,本県の介護職員は,2025年には約1万人が不足すると推計されておりまして,県におきましては介護職員の確保に向けたさまざまな取り組みを進めているところでございます。  まず,介護職の業務内容の周知や認知度向上のため,無料職業紹介や就職相談会,職場体験事業などを実施しておりますほか,将来に向けた取り組みとして,小中学校,高校に出向いて介護の仕事をPRする福祉キャラバン隊の派遣や,小中学生やその保護者を対象とした福祉施設見学会の開催などを実施しております。また,介護福祉士資格などを有していながら就業されていない方に対する就職情報の提供や資金の貸し付けのほか,地域医療介護総合確保基金を活用したさまざまな事業の展開により,介護職員の確保に努めているところでございます。  しかしながら,昨今多くの産業で人手不足感が高まり,求人募集が多数ある中で,特に介護職を選択していただくためには,介護職員の処遇・労働環境の改善に取り組むことが重要であると考えております。  介護職員の処遇改善につきましては,介護報酬において,議員御指摘のとおり,最大で月額平均3万7,000円相当の賃金改善加算を,さらに多くの事業所が取得できるよう働きかけてまいります。  また,労働環境改善につきましては,介護者の身体的な負担軽減に資するロボット介護機器の導入への支援や,勤務環境改善,キャリア形成などを行う事業所への支援,そしてその取り組みを評価する制度の創設などにより,介護事業所の働きやすい魅力ある職場づくりを支援,推進してまいります。  外国人の介護職への受け入れにつきましては,現在,二国間経済連携協定に基づく介護福祉士候補者の受け入れ制度があり,県内ではこれまで85名を受け入れておりますが,新しい生活環境への適応,日本語や専門技術の習得,介護福祉士試験対策などが課題となっております。  このような中,議員御指摘のとおり,11月1日には「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が施行されるとともに,対象職種に「介護」が追加される予定でございます。  これにより,受け入れに当たっての体制要件や,日本人と同等以上の報酬の支給,宿泊施設の確保などが定められることから,実習生が技能実習に専念できる環境が整備されることとなります。  また,受け入れ施設においては,生活指導員や技能実習指導員を配置すること,実習生に対し,日本語試験や介護技能評価試験の合格が課されることなどにより,日常生活や実習が充実し,介護サービスの質が確保されるものと考えております。  一方,本制度では,実習生は最大でも5年間で帰国しなければならないことから,県といたしましては,この期間内に十分な技能移転のための知識や技術を身につけられるよう,実習の実施状況や課題を踏まえ,必要な支援を検討してまいりたいと考えております。  次に,難病患者等への支援策についてでございます。  まず,難病患者への在宅療養支援についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,原因が不明で治療方法が確立されていない難病は,療養生活が長期にわたるため,患者及びその家族は,治療や介護の問題などさまざまな悩みを抱えており,支援策の充実が求められております。  まず,医療従事者向け研修につきましては,県立中央病院で実施する研修におきまして,対象者に障害福祉サービスに従事する者を新たに加えるなど,患者の特性に配慮した人材の育成に力を入れてまいりました。  また,難病相談支援センターにおける相談支援では,各種相談やハローワークと連携した就労支援に加え,今年度新たに社会保険労務士による障害年金に関する相談を開始したほか,地域支援では,昨年度全ての保健所に難病対策地域協議会を設置し,地域の実情に応じたネットワークの構築を進めております。  さらに,医療提供体制につきましては,対象疾病拡大に対応し早期に適切な医療が受けられるよう見直しを行い,新たな拠点病院や協力病院を整備し,第七次保健医療計画に盛り込むこととしております。  また,難病患者の在宅療養につきましては,家族と介護者の負担は大きなものでありますことから,介護者の休息等を目的としたレスパイト事業につきましても,受け入れ先の少ない県北地区と小児の受け入れ先として,今年度,受け入れ機関を2カ所拡大をしたところです。  県といたしましては,これらの取り組みにより難病患者とその家族の支援のより一層の充実強化を図ってまいります。  次に,精神障害者を対象としたマル福制度についてお答えいたします。  本県における重度心身障害者マル福は,身体障害者や知的障害者,そして精神障害者のそれぞれ重度の障害の方を対象に,医療費の自己負担分の全額を県と市町村とで助成しているものでございます。  精神障害者については,現状,障害年金1級の受給者を対象としており,保険料の納付期間や初診日の認定など年金の受給資格を有さないため,重度の障害を有しながらもマル福を利用できない方もいらっしゃいます。  一方,身体障害者や知的障害者は,障害年金受給者以外にも身体障害者手帳や療育手帳による重度の障害の方をマル福の受給対象としており,公平性の観点から課題があると考えております。  本県では,昭和48年のマル福制度創設以来,障害年金を要件として精神障害者に対する医療費助成を行ってまいりましたが,近年,全国では23県が,平成7年に制度化された精神障害者保健福祉手帳を用いて,何らかの医療費助成を実施するようになってきております。  こうしたことから,今後,マル福制度に精神障害者保健福祉手帳所持者をどのように位置づけるか,他県の動向や県の財政状況等を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。 38 ◯藤島正孝議長 次に,世取山警察本部長。                   〔世取山警察本部長登壇〕 39 ◯世取山警察本部長 外国人不法就労対策についてお答え申し上げます。  不法就労・不法滞在は,それ自体が出入国管理及び難民認定法に違反する犯罪である上,凶悪事件被疑者として検挙される不法就労・不法滞在者も後を絶たず,不法就労の陰には,生業として不法就労者を雇用したり,不法就労者の雇用を斡旋したりする者も存在しております。また,不法就労・不法滞在者はみずから違法状態にあるため,犯罪の被害に遭っても助けを求めることが難しい面もございます。  このように,不法就労・不法滞在は,それ自体が犯罪であるばかりか,他のさまざまな犯罪の温床になっているため,根絶していく必要がございます。  特に当県は,入管当局に退去強制された外国人の不法就労先として平成27年,28年,本年上半期と,2年6カ月連続で全国最多であり,不法就労者数も増加し続けているところでございます。また,昨年は県内での不法就労者の7割以上が農業に従事していたとされております。  そこで,県警では,不法就労全国最多の返上に向けて,次のような対策を講じているところでございます。  第1に,被疑者の検挙と犯罪収益の剥奪でございます。県警では,昨年12月「外国人不法就労・不法滞在対策プロジェクト推進本部」を立ち上げ,悪質ブローカーや不法就労者への生活インフラ提供者に照準を当て,被疑者検挙や犯罪収益の剥奪を進めているところでございます。  不法就労・不法滞在者を検挙した場合には,就労先,居住先,不法就労者の人的ネットワーク,不法就労により得た収益の行方の解明に努めており,その結果,本年は9月末までに,前年同期の3.2倍に当たる288名の被疑者を出入国管理及び難民認定法違反で検挙いたしました。  また,不法就労者の雇用主やブローカー,計56名を9月末までに不法就労助長罪で検挙しているところでございます。  第2に,雇用対策法が定める外国人雇用状況の届け出義務及び偽造在留カードの判別方法の県民への周知でございます。雇用対策法では,事業主が新たに外国人を雇用した場合,当該外国人の氏名,在留資格,在留期間を確認の上,厚生労働大臣に届け出なければならないと定め,届け出を怠ったり,虚偽の届け出をすれば30万円以下の罰金に処されることになっております。事業主がこの届け出をするには,雇用しようとする外国人の在留カードを確認する必要がございます。実際には就労することができないにもかかわらず,あたかもできるかのごとく装うため,虚偽の在留資格が記載された偽造在留カードの発見・押収が当県でも増加しているところでございますけれども,誰でも,在留カードに施されている偽造防止のためのホログラムを確認したり,入管のWEBページに在留カード番号を入力したりすることで,在留カードの真贋を判別することができます。  事業主が偽造在留カードの判別方法を理解し,雇用対策法の届け出義務を遵守すれば,外国人不法就労は大きく減少するものと確信しております。そこで,県警では,雇用対策法が定める外国人雇用状況の届け出義務及び偽造在留カードの判別方法について,農業を初め各業界と緊密な関係にある県知事部局を初め,関係機関に協力を求め,県民への周知に努めているところでございます。  第3に,外国人技能実習生を受け入れている監理団体への技能実習生失踪防止の求めでございます。失踪技能実習生は不法就労者の供給源の1つとなっておりますが,県警が行方不明者届けを受理した失踪技能実習生の数は,本年9月末までに257名と,過去最多を記録した平成27年の同時期より18名多く,失踪に歯どめがかかっていない状況でございます。受け入れた技能実習生が毎年失踪している監理団体も県内に多数あることから,県警では,各監理団体に技能実習生の失踪防止を求めているところでございます。  県警では,以上の諸対策により,不法就労全国最多の返上,不法就労の根絶に努めてまいります。 40 ◯藤島正孝議長 次に,櫛田農林水産部長。                   〔櫛田農林水産部長登壇〕 41 ◯櫛田農林水産部長 外国人技能実習制度の適切な実施についてお答えいたします。  県ではこれまで,監理団体として外国人技能実習生の受け入れ窓口となっているJAなどに対して,警察本部とも連携し研修会などさまざまな機会を捉えて,制度の適正な実施について周知徹底を図ってきたところです。  特に本年は,実習管理が不十分であると思われるJAに対して,重点的に個別指導を行ってまいりました。  その結果,JAグループで受け入れている実習生1,148名のうち,今年度の9月末現在の失踪者は8名となり,39名が失踪した昨年度と比べ,まだ半年間の実績ではありますが,改善が見られております。  また,本年11月から本格施行される,「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」において,監理団体が国の許可制度のもとに置かれ,改善命令や許可の取り消しの規定が整備されるとともに,本年1月に国が設置をした外国人技能実習機構が,実習を行おうとする各農家の実施計画の認定や,監理団体と実習実施者への報告徴求及び検査の事務を担うこととされました。これにより,技能実習の適正な実施を確保するための法制度が整えられたところであります。  さらに,これまでの制度では地方公共団体の役割は法律上明らかにされておりませんでしたが,この技能実習法では,新たに地方公共団体の責務として技能実習の適正な実施,及び実習生の保護のために必要な施策を推進するよう努めることが定められております。  このため,今後は,市町村との協力,連携を密にし,監理団体に加えて受け入れ農家を対象とした研修会を開催するなど,制度の適正実施についてさらなる周知徹底を図ってまいります。  また,こうした取り組みに加え,監理団体や受け入れ農家を対象に実施した調査において,実習生のための相談員の増員を求める声が数多くございましたので,実習生の不平や不満をくみ取り,失踪防止につなげられるよう,JAグループとも連携し相談体制の充実強化を検討してまいります。  県といたしましては,関係機関や市町村とともに,なお一層失踪防止につながるよう,技能実習制度の適正な実施に努めてまいります。 42 ◯藤島正孝議長 次に,小野寺教育長。                    〔小野寺教育長登壇〕 43 ◯小野寺教育長 非正規雇用教員の処遇改善についてお答えいたします。  学校現場では正規教員のほか,欠員の補充として非正規雇用の臨時的任用教員を採用しており,本年5月1日現在で,教員全体の9%に当たる1,904人が配置されております。  これは,児童生徒数の増減により,学級数が不確定であることや,国から加配される教員数が毎年変動することなどにより,全ての教員を正規教員とすることが難しいため,一定数を臨時的任用教員として配置しているものでございます。  この臨時的任用教員は,講師として採用しておりますが,その職務は授業や部活動の指導など児童生徒に対する教育指導面におきましては,教諭と同等の役割を担うもので,中には学級担任や部活動顧問を担当している者もおります。  一方,講師はあくまでも管理職や教務主任等の指導・助言を受けながら,補助的に関与する職と解されておりますことから,学校教育法施行規則により教務主任や学年主任などの,いわゆる省令主任と言われる職に充てることはできないことになっております。  そうした中,給与の処遇につきましては,教諭ではなく講師で採用しておりますことから,地方公務員法の職務給の原則により格付けに違いを設けており,また,本県を含めた全国38都県で給料の上限を設けているなど,一定の差が存在しております。  こうした中,全国的に臨時・非常勤職員が増加し,その任用や勤務条件などを統一的に把握していない自治体があることも想定されることから,先般,総務省から各自治体に対し,実態をよく把握した上で適正な任用をするよう通知されております。
     県としましては,こうした状況を踏まえ,年内に改めて臨時・非常勤職員の職務や処遇などに係る実態を把握するとともに,あわせて全国の臨時的任用教員の給与の状況などを精査し,適正な処遇となるよう改善に努めてまいります。  特に,給料の上限を設けていることにつきましては,その必要性,合理性を十分に検証した上で,その見直しについて検討してまいります。  また,服務の面におきましても,臨時的任用教員が翌年も継続して任用された場合には,臨時休暇の残日数を繰り越しできるようにすることを検討するなど,処遇の改善に努めてまいります。  一方,議員御指摘の正規教員の雇用をふやすことについてでございますが,平成27年度採用から教諭の採用予定者数を前年比で約3割増の約770名と大幅に拡充し,これを平成29年度まで3年間継続し,平成30年度採用ではさらに,これに45名ふやし815名にしたところでございます。  今後も,平成22年度の採用試験から導入しております講師等経験者特別選考制度を活用し,引き続き,常勤講師の経験を持つ優秀な教員を積極的に採用するなど,子どもたちが安心して教育を受けられる体制の確保に努めてまいります。 44 ◯藤島正孝議長 福地源一郎議員。 45 ◯53番福地源一郎議員 再質問させていただきます。  先ほど原子力事業と核のごみ処理問題を知事にお尋ねをいたしました。  国の責任において処分する,対応するべきだというようなお答えでございました。先ほど川口議員からも,世界の核のごみの処理方法は研究されていると,私も伺っております。  そこで私たちは,本県は原子の灯をともした地でありますので,その原子の灯を,ごみを減らしていく,鎮める地として,国において世界に先駆ける県最新の使用済み核燃料の処理技術研究機関を集積して,国に要望するべきだと思いますが,知事にお尋ねいたします。 46 ◯藤島正孝議長 福地源一郎議員の再質問に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 47 ◯大井川和彦知事 福地議員の再質問に対してお答えいたします。  福地議員御指摘の放射性廃棄物の研究施設につきまして,現在,最新の処理技術として核変換技術をJ-PARCを活用した実験計画が東海にあるわけでございまして,その予算措置につきましては,引き続き国に対して積極的に要望しております。  それ以外に,今後,県として新たな核の廃棄物問題の研究施設の集積など,可能性があるのであれば,ぜひ前向きに検討していきたいと思っております。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 48 ◯藤島正孝議長 これで通告による一般質問並びに上程議案に対する質疑を終了いたします。          ───────────────────────────── 49 ◯藤島正孝議長 次に,第96号議案ないし第105号議案及び報告第3号を,お手元に配付の議案付託表のとおり,それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。  つきましては,各常任委員会において,それぞれ審査終了の上,予算関係議案を10月20日の本会議に,その他の議案を10月30日の本会議に報告されるよう求めます。  この際,お諮りいたします。  第106号議案,認定第1号及び認定第2号を決算特別委員会に付託の上,審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。                  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 50 ◯藤島正孝議長 御異議なしと認め,さよう決しました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第2 休会の件 51 ◯藤島正孝議長 日程第2,休会の件を議題といたします。  お諮りいたします。  10月17日は委員会審査準備のため,10月18日及び19日は常任委員会審査のため,それぞれ休会とすることにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。                  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 52 ◯藤島正孝議長 御異議なしと認め,さよう決しました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 53 ◯藤島正孝議長 以上で,本日の日程は全て終了いたしました。  次回は10月20日午後1時から本会議を開きます。  本日は,これにて散会いたします。                     午後4時50分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...